自動運転ミニカーバトルキックオフイベント開催
2025年11月29日、42 Tokyoが主催する「自動運転ミニカーバトル」のキックオフイベントが東京都港区で開催されました。このイベントは、自動運転技術に特化した開発コンテストであり、未来のソフトウェアエンジニアを育てることを目的としています。
自動運転ミニカーバトルとは?
自動運転ミニカーバトルは、参加者が電子制御されたミニカーに自らプログラミングした自動運転アルゴリズムを実装し、コースを最速で周回することを競う約3ヶ月間のハッカソン型コンテストです。今回の第2回開催では、50チーム目にあたる178名の参加者が発表されています。彼らは、2026年2月8日の予選レース、そして2月15日の決勝レースに向けて開発を進めています。
半数以上がプログラミング未経験者
興味深いのは、参加者の約60%がPythonの経験がないということです。また、13名はプログラミング未経験者です。それにもかかわらず、参加者は情熱を持ってプログラミングに取り組んでいます。このイベントはエンジニアや学生だけでなく、高校生を含む多様なバックグラウンドの人々に開かれています。
パネルディスカッションの内容
イベント終盤には、自動車業界で活躍するトヨタ自動車、マツダ、スマートホールディングスの3社を代表するパネリストが、未来の技術者に求められるスキルや業界の変化について語りました。モデレーターを務めた坂之上理事長のもと、彼らは様々なテーマで熱く意見を交わしました。
業界の変化について
自動車産業は従来のハードウェア中心から、「CASE」(Connected, Autonomous, Shared & Services, Electric)とも呼ばれる新たな時代に突入しています。マツダの後藤氏は、「車載ソフトウェアの市場規模は10年前に比べて3倍になった」と述べ、技術革新が進化するなかで企業文化も変わっていくことを強調しました。特に、開発現場での服装の変化にも触れ、「スーツからパーカーに変わった」と話すなど、自動車業界の流動性を示しました。
また、スマートホールディングスの鈴木氏は、OTA(Over The Air)技術の進化がもたらす課題として「セキュリティ」の重要性を指摘。自動車が販売後も進化し続ける時代に則って、エンジニアはこれまで以上に広範な知識を持つ必要があると述べました。
技術と人材育成
パネリストたちは、技術スタックの本質を理解することが求められると強調しました。特に「生成AI」の技術が進化する中で、表面的なコードを書くことだけでなく、システムが動く原理や基礎的な仕組みを理解できるエンジニアが重視されるとしています。これからのエンジニアには、どんな技術を持っていても、「コアな専門性」を持つことが大切と語りました。
モビリティエンジニアに求められる人物像
さらに、自動車業界の大規模なシステムを動かすためには、高度な技術だけでなく、コミュニケーション能力や柔軟な考え方も求められます。トヨタ自動車の千々岩氏は、「自分の役割がシステム全体にどう影響するかを理解できる力が重要」と述べました。
今後の展望
自動運転ミニカーバトルは、2026年の予選レース(2月8日)と決勝レース(2月15日)に向けて開発が進められています。これからの3ヶ月間、参加者たちは「Tokyo Innovation Base」に設けられたテストコースや、DMM.make TOKYOの3Dプリンターを活用し、マシンとシステムの開発を行います。
自動運転技術が進化し続ける現代において、42 Tokyoはこのコンテストを通じて次世代のエンジニアリング人材を育成することを目指しています。興味のある方は、公式サイトから体験してみてはいかがでしょうか。