岐阜における発達障害支援の未来像を探る講演会とシンポジウム
2026年1月25日、岐阜市のじゅうろくプラザで、一般社団法人サステイナブル・サポートが主催した「発達障害をめぐる岐阜の現在地とこれから」というテーマの講演会とシンポジウムが行われました。このイベントは、発達障害に関わる支援者、教育者、保護者、企業の方々など約90名が参加しました。
基調講演:発達障害の理解
基調講演に登壇したのはいかわクリニックの院長、井川典克氏。井川氏は発達障害者支援法施行以降の国の施策の変遷について触れ、早期発見・早期支援から就労・地域生活・高齢期にまでも広がったものであると解説しました。しかしながら、制度の整備が進む中でも法律や制度の「谷間」に取り残される人々が存在する現実にも言及。そのうえで、「診断名や数値で人を理解したつもりになるな」との重要なポイントを挙げました。この考えは、支援を行う者がその人の全体像を捉えることの重要性を示唆しています。
また、井川氏は支援の出発点の重要性についても強調。『本人が困っているのか?周囲が困っているのか?それとも双方が困っているのか?』を考える必要があり、一律の支援よりも関係性の構築が重要だと述べました。支援計画も、最終的には本人が自分自身で作成できるようになることを目指すことが大切であると語りました。
シンポジウム:未来の支援について
シンポジウムでは、井川氏を含む複数の専門家が登壇しました。議論は、発達障害への理解を深めるとともに、学齢期から社会への切れ目ない支援の必要性について多角的に展開されました。
登壇者の一人、垣添忠厚氏(大垣女子短期大学教授)は、幼少期における支援の本質について、「困りごとを直す前に、その子らしさや良さを育てることが重要」と強調しました。義務教育に入ると、全ての子供に平等な支援が求められるため、多様性が認められにくい現状があることを指摘しました。
さらに、安田和夫氏(岐阜聖徳学園大学教授)は、高校・大学における合理的配慮の難しさについて意見を交わし、自分の特性を理解することで初めて適切な支援を受けられるようになるとの見解を述べました。
製品の特性や状況に応じた支援のあり方を議論する中で、井川氏は支援を受ける存在としてではなく、一人の社会の担い手として尊重されることの重要性を強調しました。地域でのつながりを強化していくことが求められています。
参加者の声
参加者たちは、発表後のフィードバックとして、「誰が困っているのかを整理することが実践に活かせそう」「自己理解や成功体験の重要性を再認識した」といった意見を述べました。
最後に
本講演会を通じて、発達障害を個々の特性だけで見るのではなく、周囲の環境との関係の中で考える重要性が強調されました。支援者も自身の支援方針を見直し、当事者の理解を深めるための取り組みを進めなければなりません。これからの地域での協力に向けた具体的な行動が期待されています。
一般社団法人サステイナブル・サポートは今後も、その理念に基づき『誰もが自分らしく生きることのできる社会』の実現に向けて、様々な支援活動を推進していきます。