大正大学、奈良薬師寺にサテライトキャンパスを開設
大正大学(東京都豊島区)が、奈良県の薬師寺と連携し、2025年5月29日(木)にサテライトキャンパスを開設することが決定しました。この連携の目的は、薬師寺の豊かな「歴史」や「文化財」を通じて学生たちの学びを深め、デジタル技術を駆使した文化関連の教育・研究活動を進めることです。この大規模なプロジェクトは、地域社会との結びつきを強め、教育の可能性を広げる重要な試みです。
サテライトキャンパスの特徴と教育プログラム
薬師寺に設けられるサテライトキャンパスは、「歴史」「文化」「仏教」「地域」「文化財」をテーマにした学びの拠点とされ、特に2026年4月に予定されている情報科学部(仮称)設置に向けた基盤作りとなります。キャンパスでは、文化財の調査や研究、保存の活動を行い、デジタル技術を活用したアーカイブ化などを推進。学生と教員、さらには薬師寺関係者との共同プログラムを通じて、学びの幅を広げることが期待されています。
実習体験や特別講座の提供
学生たちは、この新しいキャンパスで実習の機会も享受できるようになります。2025年3月には、大正大学の学生9名が薬師寺で行われる奈良時代から続く修二会(しゅにえ)に参加し、法要や柴燈大護摩(さいとうおおごま)の準備・体験を通じて、実務に即した学びを得ることができました。さらに、令和7年度には大正大学の客員教授であり薬師寺の執事長である大谷徹奘氏により「心が創る自分~「唯識」の教えと対談から学ぶ心の重要性~」をテーマに特別講座が開催されます。この講座は、学生だけでなく地域住民に向けて「心の重要性」を伝える内容で、多くの人々に参加が呼びかけられています。
大正大学の使命と理念
大正大学は、天台宗、真言宗、浄土宗、時宗という四宗派が協力して運営する一風変わった教育機関です。大学としての基本理念は「智慧と慈悲の実践」。これは仏教の菩薩に由来し、自らを修行しながら他者の幸せを願う生き方を目指します。大学生活中だけでなく、一生を通じてこの理念を持って行動することが、教員や学生に求められています。大正大学の教育方針は「慈悲・自灯明・中道・共生」を基にしており、仏教精神に根差した教育研究を推進しています。
奈良薬師寺の魅力
奈良薬師寺は、天武天皇が創建した760年以上の歴史を持つ仏教寺院です。薬師寺は国宝を多く有し、世界遺産にも登録されています。ここでは定期的に薬師縁日や修二会などのイベントが開催され、多くの信者が訪れています。新たなサテライトキャンパスは、地域の文化財を学ぶことができる貴重な場所となるでしょう。
このサテライトキャンパスが学生や地域にどのような影響を与えていくのか、ますます注目が集まります。大正大学と奈良薬師寺の連携が、歴史と文化の学びを深め、未来の人材を育成する貴重な一歩となることを期待しています。