小坂公一展「奇跡の根来塗り」
日本の伝統を代表する工芸品である根来塗の魅力を余すことなく伝える特別展が、東京、パリ、ニューヨークの三都市で開催されます。この展示は、故小坂公一氏の遺作を通じて、根来塗の美しさとその背後にある深い文化的意義を再確認する機会となります。
根来塗の歴史と魅力
「根来塗」とは、特に朱色に特化した漆器で、長い歴史を誇る日本の伝統工芸品です。古代から人々にとって特別な意味を持つ「朱」の色は、生命や再生を象徴する色として用いられてきました。血の色、火の色、そして太陽の色を想起させるこの鮮やかな色合いは、時には死者を弔う際に使用されることもありました。つまり、根来塗は単なる装飾品ではなく、精神的な意味合いも持つ重要な文化遺産であるのです。
小坂公一氏は、長野県木曽出身の伝統工芸士として、根来塗の技術を現代に伝えるために尽力しました。彼の作品は技巧と精神が融合したものであり、一つ一つが独自の物語を持っています。この展示では、すべて小坂氏が手がけた貴重な一点ものを集めており、再制作は不可能であるため、極めて希少な機会と言えるでしょう。
小坂公一氏の生涯と功績
小坂公一氏は1949年に長野県木曽平沢に生まれ、長年にわたり漆工芸の技術を磨いてきました。彼は国画会の会員や、数々の美術賞を受賞しており、その作品は高い評価を受けています。特に、長野県中信美術展での民芸協会賞や、小田原城ミュージアム内装壁漆塗制作の実績は、その技術力の証です。また、彼は木曽漆器新作見本市で商工会長賞も受賞しており、地域の文化を世界に広める役割も果たしていました。
展示場所と日程
本展の開催場所は次の通りです。
- - 東京会場: AREA Tokyo (東京都港区北青山2-10-28 1F)
会期: 2025年6月20日(金)~8月17日(日)
- - パリ会場: AREA Paris (4 rue de l'Université 75007 Paris FRANCE)
会期: 2025年9月3日(水)~10月25日(土)
- - ニューヨーク会場: AREA New York (172 Madison Avenue, New York, NY 10016)
会期: 2025年11月14日(金)~2026年1月17日(土)
伝統の継承
小坂氏の作品が通過する三都市を巡回する展示は、根来塗の歴史を深く知る貴重な機会です。生と死、そして再生を祈る朱色の力を体感することで、観る者に強い印象を与えることでしょう。彼の作品が持つ神聖な力を感じることで、古来から続いてきた文化を未来へと繋ぐ重要な足跡を辿ることができます。
ぜひ、この機会を逃さず小坂公一展に足を運び、根来塗が持つ深遠な魅力をご堪能ください。