市販薬の過剰摂取問題に迫る新著の登場
近年、薬物依存症に苦しむ10代が急増しており、特に注目すべきは彼らが使用する薬物が覚醒剤や大麻でなく、市販薬である点です。松本俊彦氏の著書『オーバードーズする子どもたち なぜ、「助けて」が言えないのか?』が2025年10月29日に全国書店で発売されます。この新刊は、若者たちが市販薬に依存する背景やその現状を詳細に描写し、社会が見落としてきた問題に光を当てています。
10代の薬物依存の現状
薬物依存症に関する臨床現場では、10代の患者数が急速に増加しています。多くが市販薬のオーバードーズを繰り返しており、その多くはストレスや気持ちの不安を和らげるための手段として利用されています。しかし、この行為は次第に彼らを手放せない状況へと追いやっており、市販薬が容易に手に入る環境がその一因です。
市販薬は合法であり、販売に制限を設けてもドラッグストアは至る所に存在します。未成年者の購入を禁止しても、転売する大人がいるため、効果的な対策になっていません。市販薬が手に入らなくなった場合、自傷行為への転換が見られるため、対策を見直す必要があります。
薬物対策の史的背景
日本の薬物対策は、長らく「ダメ。ゼッタイ。」という強い言葉で推進されてきましたが、その結果、非合法薬物を使用する人々をバッシングすることに終始し、彼らが抱える心理的な負担や生きづらさを無視してきた側面があります。こうして見て見ぬふりを続けたツケが、今の若者たちの困難に直結しているのです。
自殺リスクと向き合うことの大切さ
リストカットやオーバードーズは決して単なる症状ではなく、実は保護因子としての側面も持っていることが専門家により指摘されています。短期的に辛い感情を軽減する手段として機能する一方で、長期的には自殺の危険因子となる可能性があります。このような状況に対し、どのようにサポートできるのか、人々の理解と共感が求められます。
読者へ届けたいメッセージ
著書では、自傷行為を選ぶ理由や、なぜ若者たちが助けを求められないのかについて、深く考察しています。読者に伝えたいことは、まずは現状を理解し、共感する姿勢を持つことです。若者たちが他者に「助けて」と言える環境を作ることが、より良い未来へとつながるのです。
松本氏の執筆を通し、読者一人一人がこの問題について考えるきっかけとなることを願っています。