VHF帯でドローン映像伝送
2026-09-28 14:48:15
ドローンからの高解像度映像伝送に成功したVHF帯IoT通信の新技術
ドローンからのライブ映像を高解像度で伝送
新しいVHF帯通信技術の開発から実証まで
近年、ドローンの活用が進む中で、特に災害時の被災状況把握や生存者捜索において、その能力が注目されています。しかしながら、従来の通信手段である無線LANや携帯電話システムは、通信距離や地形の影響を受けやすく、特に山間部や離島では信頼性が低くなるという課題がありました。これに対して、京都大学情報学研究科の原田博司教授が率いる研究グループは、VHF帯を利用した新たな狭帯域IoT通信システムを開発しました。
このシステムは、Wi-SUN FANという国際無線通信規格に基づいており、10km以上の長距離伝送が期待できるという特長を持っています。研究グループは、VHF帯の限られた通信速度でも高効率な映像圧縮技術を用いることで、飛行中のドローンからHD(1280×720ピクセル)、10fpsのライブ映像を無線で伝送することに成功したのです。
背景と技術的な課題
ドローンと地上の無線通信には多くの制約があります。主に利用される無線LANは、通信距離が数百メートル程度であり、また周波数帯が高いため、森林や山岳地帯での通信 が難しいのです。一方、携帯電話網を利用する場合、大規模な災害や山間部での通信切れのリスクも存在します。そこで、VHF帯の利用が提案されました。この帯域は、森林や地形に遮られにくく、広いエリアをカバーする無線通信手段として期待されています。
京都大学の研究では、VHF-IoTの新しい無線伝送装置が開発され、既に30 kmを超える伝送距離の実証も行われています。しかし、こちらのシステムは1対1の通信に限られており、多くの情報の送受信が必要な状況では十分ではありません。この課題を解決するため、より多くの無線機を利用したネットワーク化と、滑らかな映像伝送が求められました。
実証実験と成果
研究グループは、VHF-IoTを用いた高速かつ高品質なデータ伝送を実現するために、OFDM方式を採用し、170MHz帯と220MHz帯の通信システムを構築しました。この結果、通信速度が600kbit/sから最大2,400kbit/sに達することが可能になりました。また、パケットアグリゲーション技術を用いることで、通信環境が変化しても安定して映像を伝送できるシステムが確立されました。
実際の実験では、ドローンが25m及び50mの高度を飛行してHD映像を安定して傳送しました。驚くべきことに、VHF帯の狭帯域通信ながらも、飛行中のドローンからの映像が10分以上にわたり安定して維持されることが確認されました。この映像は、地上でに映像受信装置を用いてリアルタイムで展開され、また録画も行われました。
今後の展望
今回の成功に基づき、京都大学の研究チームは、さらなる実験の計画を立てています。数キロメートル規模の伝送距離を視野に入れ、様々な環境でのドローン飛行試験が予定されています。Wi-SUN FANが持つ自律的なネットワーク機能を利用し、複数のドローンと地上局間で広域な通信エリアを形成する新しいシステム作りを進め、特に通信インフラが被災した地域においても持続可能な通信手段として機能することを目指しています。
また、映像品質のさらなる進化のため、映像圧縮技術の改善やパケットアグリゲーションの最適化も計画されており、高フレームレートでの滑らかな映像伝送を実現するための研究が続けられます。
これらの技術革新は将来的に災害時における状況把握や、山間部でのインフラ監視、物資輸送など、さまざまな分野への応用が期待されており、VHF帯Wi-SUN FANを基盤とした次世代ドローン通信システムが現実のものとなる日も近いでしょう。
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京都大学 原田研究室
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