矢野憩啓の個展「フルーツバスケット」が拓く新たな視点

矢野憩啓の個展「フルーツバスケット」

2025年10月29日、株式会社リクルートホールディングスが運営するアートスペースBUGにて、若手アーティスト矢野憩啓の個展「フルーツバスケット」がスタートします。この展覧会は、第2回BUG Art Awardでグランプリを獲得したことを受けた企画で、彼の独自の視点で描かれた作品と単語帳を組み合わせたインスタレーションが見どころです。

矢野憩啓とそのアートの背景

矢野は、千葉県出身で2000年生まれの若きアーティスト。2023年には多摩美術大学の油画専攻を卒業しました。彼の作品は、身近なモチーフから洗練されたセルフポートレートまで多様で、アクリル絵具、クレヨン、オイルパステルなど、さまざまな技法を駆使して制作されています。特に彼が重要視しているのは、日々の中で出会った言葉や状況をテキスト形式で表現する“単語帳”という独自の切り口です。これにより、作品に新たな意味合いを持たせ、鑑賞者に深い思考を促しています。

アワード受賞の背景

矢野は、彼の代表作である作品『see-through』によって、2024年に第2回BUG Art Awardのグランプリを受賞しました。この作品は、日常の特別な瞬間を捉えたもので、柔軟な展示構成と独創的な見せ方が審査員の評価を得ました。絵画と単語帳という二つの要素を絡ませ、視覚的にも知的にも楽しませる試みが成功に結びついたのです。

展示内容とその意図

個展では会場全体を使い、絵画と単語の相互関係を探る新作を発表します。矢野は、切り開かれたフルーツや独特なデザインのパンツ、職場から見える海など、身近な出来事や対象物を題材にし、観る者に親しみやすい視点を提供します。また、それぞれの単語には彼自身の解釈が添えられ、作品を通じて彼の思考過程や価値観に触れることができるでしょう。