製造現場の無線技術
2019-09-24 15:01:21
製造現場の無線通信を安定化する新技術の進展と成果
製造現場の無線通信を安定化する新技術の進展と成果
製造業界は、近年、労働力不足や働き方の変化に直面し、生産性を向上させるための情報通信技術の利用を拡大しています。この流れの中で、無線通信の重要性が増加していますが、それに伴い不安定性が懸念されています。特に製造現場では、各種設備から得られる情報をリアルタイムで扱うことが求められており、無線通信の安定化が急務となっています。
背景と課題
製造現場では、古い機械の状態を無線通信で簡単に把握したいという声や、人や自動搬送機(AGV)が動き回っているために無線通信が必須であるという要望が高まっています。また、柔軟な工場レイアウトを維持するために、無線通信を用いたカメラの設置を希望する声も多く聞かれます。しかし、さまざまな無線デバイスが同じ周波数帯を使用するため、通信の干渉が起こり、期待される通信品質が確保されないという問題が発生しています。
このような状況を改善し、安定した無線通信を実現するために、NICTは新たなSRF(Smart Resource Flow)無線プラットフォームの概念を提案しました。このプラットフォームでは、多種多様な無線機器が共存し、協調して機能する仕組みを構築することを目指しています。
SRF無線プラットフォームの技術仕様
2017年に設立されたフレキシブルファクトリパートナーアライアンス(FFPA)は、このSRF無線プラットフォームを実現するための技術仕様を策定しました。これにより、通信品質を保証しながら多様な無線システム間での協調を進めています。
具体的には、FFPAでは以下のような機能を設けています。
1. ポリシーの設定: 各無線システムにおいて、通信リソース(周波数、時間、空間)の配分を行う際に、明確な方針を与えます。
2. 通信環境の監視: 無線通信環境の変化を常に監視し、問題が生じた場合には迅速に対応します。
3. 分散制御機能: 現場における変化に対して、自律的な制御を行うことができる仕組みを持っています。
これにより、製造現場では、機器状態の監視や製品検査、プロセス管理を円滑に行うことが可能となり、情報の可視化と統合管理が実現されます。
今後の展望
FFPAは、今後もテスト仕様の策定を進め、2020年中頃を見込んで無線通信に関する認証プログラムを立ち上げる計画です。そして、SRF無線プラットフォームを広く普及させることで、製造現場のIoT化をさらに推進し、生産性向上を図ります。
セミナー「SRF無線プラットフォームで創る未来の製造現場~FFPAの技術仕様Ver.1を解説~」が10月31日に東京のフクラシア品川クリスタルスクエアで開催され、そこでFFPAの技術仕様が発表されます。このイベントを通じて、さらなる技術の進展と実装が期待されます。
まとめ
新たに策定されたSRF無線プラットフォームの技術仕様は、製造現場における無線通信の安定化を実現し、今後の生産性向上に寄与するとともに、製造プロセスの効率化と透明化を推進します。今後の展開に目が離せません。
会社情報
- 会社名
-
フレキシブルファクトリパートナーアライアンス
- 住所
- 東京都小金井市貫井北町4-2-1国立研究開発法人情報通信研究機構 戦略的プログラムオフィス内
- 電話番号
-
042-327-7209