企業分析の未来、AIエージェントによる効率化と高度化
日本の銀行業界において、新たな一歩が踏み出されました。株式会社東京商工リサーチ(TSR)、株式会社NTTデータ、NTT株式会社、そして株式会社りそな銀行の四者が、法人営業担当者の業務負担を軽減しつつ、企業情報の分析業務を高度化するとともに、効率化を図るための共同実験を開始しました。この実験は、2025年8月から11月の間に実施される予定です。
背景:デジタル化と情報の洪水
昨今、企業の情報はさまざまなプラットフォームから発信されており、WebサイトやSNS、ニュースリリースなど、情報の量が著しく増加しています。特に、ESG(環境・社会・ガバナンス)情報や人的資本に関する非財務情報の重要性が増す中、銀行の法人営業担当者はこの膨大な情報を効率的に分析しなければならなくなりました。これが大きな業務負担となり、お客様との対話時間を確保することが難しい状況にあります。
実験の目的と内容
本実験では、NTTデータが提供する生成AIサービス「LITRON®」やNTTのIOWNデータハブ技術を利用して、TSRが長年の経験で築き上げた「TSR REPORT」と公知情報を分析プロセスに組み込みます。これにより、企業情報の収集・分析・レポート作成を自動化することを目指しています。
実施内容
- - 期間: 2025年8月8日から2025年11月7日まで
- - 主な情報源: TSR REPORTおよびインターネット上のIR情報など。
- - 業務内容: 顧客の概要、財務分析、競合比較などを行い、営業トピック資料を作成します。
特に注目すべきは、「LITRON® Generative Assistant」が、Webページをクローリングし情報を取得、その情報を分析可能な形式に整形する役割を果たす点です。また、LITRON® COREを使用してドキュメント作成やレビューのプロセスも自動化し、業務の効率化を高めます。
期待される成果
この実験によって、企業分析業務の効率化が進むと同時に、営業担当者はより高品質なコンサルティングを提供できるようになります。また、業務の負荷軽減により顧客との対話時間の確保が可能になることで、顧客のニーズに応じたサービスの提供につながります。
今後の展望
本実験の結果をもとに、りそな銀行の営業店での実業務への導入を検討しています。また、実験結果を評価し、サービスの実用化を進め、将来的には金融機関だけでなく、さまざまな企業において情報分析の自動化が広がることを目指します。
東京商工リサーチ(TSR)について
日本最古の信用調査会社として知られる株式会社東京商工リサーチは、信頼性の高い企業データベースを保有し、国内の経済活動に長年貢献してきました。今後も、革新的な技術を駆使し、顧客のニーズに応えるサービスの提供に努めていく所存です。
この実験は、業界全体のデジタルシフトを促進し、企業間での情報分析能力を高める重要なステップとなることでしょう。