高血圧対策の新たな潮流:日本交通とノバルティス ファーマの取り組み
日本交通株式会社は、医薬品企業のノバルティス ファーマ株式会社と手を組み、タクシー乗務員の健康管理戦略を進化させています。今回の業務連携により、高血圧を抱える乗務員の健康状態が改善され、その結果、業務の安全性が向上することが期待されています。
背景と目的
タクシー乗務員は、食生活や生活リズムが不規則になりがちなため、高血圧に悩むことが多くあります。この状態は運転に大きな影響を及ぼす可能性があり、特に脳梗塞等の健康リスクが懸念されます。日本交通は、「乗務員の健康がなければ安全な運行はなし得ない」という理念から、高血圧への対策を強化することを決定しました。
高血圧対策の具体策
高血圧対策に関する業務連携は、2024年7月から開始されました。その第一歩として、乗務前の血圧測定が定期的に行われ、全ての乗務員が自己の健康状態を意識できる仕組みが構築されました。これにより、以下のような成果が見られました:
1. 健康診断結果の改善
タクシー乗務員の健康診断を振り返ると、2022年には二次健診対象者が4%以上、2023年には2%以上存在していましたが、2024年の秋の健康診断ではその割合が1.7%まで減少しました。これは、日本交通が定期健康診断の受診を奨励し、企業全体で健康意識を喚起した結果と言えるでしょう。
2. 未治療者数の減少
また、高血圧として二次健診を受けた乗務員のうち治療を始めていなかった人数も減少しています。2022年の春には100人だった未治療者数が、2024年の秋には48人にまで減少しました。これは、健康診断結果に基づく早期治療の重要性を認識させることで達成された成果です。
3. 乗務停止人数の減少
さらに、基準値を超える血圧のために乗務を停止された乗務員の数も大幅に減少しました。2024年6月には42名が基準値以上で乗務停止となりましたが、2025年4月にはその数が10名にまで減少しました。これは、乗務前の血圧測定の結果が如実に反映されたものです。
セミナーによる意識の高まり
日本交通とノバルティス ファーマは、共同で2回のセミナーを実施しました。第一回のセミナーは「お客様のため、あなた自身のための血圧管理」というテーマで開催され、146名の社員が参加しました。このセミナーを通じて、乗務員及びその家族の健康意識が向上することが期待されました。
2024年12月には、「高血圧から身を守る!~家庭血圧測定のススメ~」をテーマにしたセミナーも行われ、30名がオンラインで参加しました。これにより、血圧管理の重要性についての理解が一層深まったと考えられます。
今後の展望
今後も両社は、高血圧が引き起こす疾患の予防と治療を積極的に進めていく方針です。また、乗務員自身が健康意識を持ち、日々の健康管理に取り組めるような環境を整備していく考えです。これにより、安全で安心なタクシーサービスの提供を一層進めていくことが期待されます。
日本交通とノバルティス ファーマの連携は、ただの業務提携にとどまらず、タクシー業界全体の健康促進、そしてサービスの質の向上に寄与することを目指しています。これからの取り組みにも、注目が集まっています。