2025年11月20日、株式会社Gakkenが発売する書籍『あの日、ともに見上げた空』は、第33回小川未明文学賞で栄えある大賞を受賞した作品です。この物語は、兄妹の特別な絆や人とのつながりを探求しながら、小学生の成長過程を描いています。
物語の主人公は小学5年生の私で、兄のほーちゃんと共に様々な出来事に直面します。ほーちゃんは、一見すると普通でない行動を取りがちな人物ですが、彼の存在は主人公にとって掛けがえのないものであり、彼との日常は甘く、時にむず痒い感情を生み出します。特に、ほーちゃんがインフルエンザにかかり修学旅行に参加できなかった事件をきっかけに展開する「やり直し修学旅行」では、兄妹だけでなく、周囲の人々や動物たちが巻き込まれ、互いの思いや背景を理解しあう旅が始まります。
この物語の中で、主人公はさまざまなキャラクターと出会い、それぞれが抱える背景や考え方に触れることで、自身の考えを広げていきます。老若男女、さらには犬や猫といった動物たちも登場し、登場人物たちが抱えるそれぞれの物語が紡がれ、感動的な共存の様子が描かれます。
この作品の大賞受賞者、黒田季菜子さんは、SNSで連載を行いすでにエッセイ書籍も出版しております。彼女の文体は、重厚なテーマを扱いながらも、読者を物語に引き込む力強さがあります。本作『あの日、ともに見上げた空』でも、多様性や心身障害、生きる権利といった社会的なテーマを敏感に捉えつつ、物語を進行させていく様はまさに圧巻です。
絵を担当したトミイマサコさんの装画や挿絵もこの物語の魅力の一部です。彼女は、登場人物たちを鮮やかに描写し、それぞれのキャラクターに命を与えています。彼女のイラストは物語の舞台を色鮮やかに表現し、読者の想像力を掻き立てるに違いありません。
黒田さん自身も、「この物語は、“色々な人たちが互いを認めて共存する”という思いを込めて書いた」と語っています。彼女は、ほーちゃんたちの物語が広く読まれることで、未来を生きる子どもたちにとっても大切なメッセージが伝わることを願っています。
この本は、ギャラリーでも公開されており、すでに多くの読者から絶賛の声が寄せられています。「とても読みやすく、それでいて深いテーマがしっかりと描かれている」とのレビューが多数見受けられます。多様性に関する理解を深めるためにも、ぜひ手に取っていただきたい一作です。
今後も黒田季菜子の活躍に目が離せません。彼女の物語が育む新しい感性が、日本の児童文学界にどう残っていくのか、ぜひご注目ください。『あの日、ともに見上げた空』は、特に多様性や共存が重要だとされる現代において、心に響く作品となっています。