建築士のデザインイメージ共有方法とオンライン化の進展について
はじめに
株式会社建築家コミュニティが、設計事務所に勤める建築士を対象に「デザインイメージの共有方法」に関する実態調査を実施しました。調査の結果、9割以上の建築士が今後オンラインで共有する機会が増えていくと回答しています。
調査の概要
この調査は2024年10月17日から18日に行われ、709名の建築士が参加しました。調査の目的は、最近の顧客ニーズにどのような変化があるか、またそれに対する設計士の取り組み状況を把握することでした。
近年の顧客ニーズの変化
調査に参加した建築士たちは、従事しているプロジェクトの中で最も割合が高いのは住宅設計(47.3%)で、次いで商業施設設計(36.5%)、公共建築設計(31.3%)という結果の中、顧客ニーズについて尋ねたところ、『耐震性や安全性の要求が高まっている』と回答した人が最も多く(40.5%)、次に『コストパフォーマンスの要求』(39.9%)、『デザインへのこだわり』(36.1%)、『環境配慮』(32.9%)が続きました。
特に震災の影響から、耐震性が重視される傾向が見て取れます。多くの建築士が顧客ニーズに応えるために新たなスキルや知識の習得に努めていることが明らかになりました。
BIMの導入状況
建築分野ではBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)というソフトウェアの使用が進んでいます。調査では、33.6%が日常的にBIMを使用、48.9%が時折使用しており、導入を検討中の建築士も12.3%存在する一方で、5.2%は導入予定がないという結果が出ました。
導入を検討しない理由としては、操作を学ぶ時間がない(41.1%)、コストがかかる(33.9%)、操作できる人材が不足している(32.3%)といったリソース不足が課題となっています。
顧客とのコミュニケーション
顧客とデザインについてコミュニケーションをとる方法について尋ねたところ、最も多いのは『図面(48.7%)』で、次いで『模型(44.7%)』『手書きパース(43.6%)』が続く結果になりました。これに対し、BIMの導入が進んでいるにもかかわらず、顧客とのコミュニケーションには旧来のツールが依然として使用されています。
スムーズな意図共有について質問したところ、約88%が『とてもできている』または『ややできている』と回答しましたが、一部には『あまりできていない』や『全くできていない』との声もありました。特に、ソフトウェアの互換性不足や円滑なコミュニケーションの欠如が挙げられています。
今後の展望
今後、オンラインで顧客と設計を共有する機会は増加すると考える建築士が93%に達しました。オンライン共有が進展する中、顧客側でソフトのダウンロードが不要な環境を整えること、アップロードやレンダリング時間の短縮、フィードバックの記録が求められることが示されています。
まとめ
今回は、建築士が感じる顧客ニーズの変化について、耐震性やコストパフォーマンス、デザインに対する関心が高まっていること、そして多くの建築士がBIMを活用していることが明らかになりました。しかし、顧客とのコミュニケーションツールにはまだ改善の余地があり、オンライン化の進展に合わせた新しいコミュニケーション手段が求められています。これに応じて、技術を活用したデジタル化が進むことが期待されます。
参考情報
株式会社建築家コミュニティが開発したコラボレーション型レンダリングソフト『Studio3DX』は、非同期コミュニケーションの向上を支援すると共に、顧客との情報共有を効率的に行えるプラットフォームです。詳細については公式ウェブサイトをご覧ください。
株式会社建築家コミュニティ