書店員が選ぶノンフィクション大賞2025ノミネート作品
「書店員が選ぶノンフィクション大賞2025」に新たにノミネートされたのは、角幡唯介さんの『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』、宮崎拓朗さんの『ブラック郵便局』、そして俵万智さんの『生きる言葉』の3作品です。この賞は、全国の書店員たちが選ぶ「もっとも売りたい」と感じるノンフィクション作品に贈られるものです。2023年に始まったこの賞の第3回目となる今回は、全国からの推薦によって選ばれた50作品がノミネートされています。
ノミネート作品の詳細
1. 角幡唯介『地図なき山――日高山脈49日漂泊行』
この作品では、地図を持たずに日高山脈に挑戦した探検家の冒険が描かれています。情報に支配された現代人がどれだけ本当に生きていると感じることができるのか、疑問を抱いた著者は、日高の山々を大地そのものと向き合いながら探求します。彼が何を経験したのか、そしてどのように「魔境」と化した日高の自然を克服していくのか、その様子は驚きと感動に満ちています。
著者の角幡唯介は、北海道出身の探検家であり、さまざまな過酷な環境での探検を通じて独自の視点を磨いてきました。その経験から生み出されたこの本は、過去の探検や冒険心を掻き立てるもので、多くの読者に刺激を与えることでしょう。
2. 宮崎拓朗『ブラック郵便局』
宮崎氏の著書は、関係者1,000人以上の証言をもとに、日本郵政グループの深い闇に迫ります。彼は、配達員やかんぽの営業マンの視点から、実態がどのように暴露されるのかを描き出しています。厳しいノルマ、ストレスの多い職場環境、そしてそこに潜む権力者たちの癒着について、圧倒的なリサーチをもとにした報道の力は圧巻です。
宮崎拓朗は西日本新聞社出身のジャーナリストとして、数々の賞を受けており、その調査能力と執念は他の追随を許しません。この本を通じて、私たちはその裏側を知ることができるのです。
3. 俵万智『生きる言葉』
俵万智は、言葉の力を再考する作品を発表しています。彼女自身の経験から、現代社会でどのように言葉を使い、鍛えていくべきかを考察します。SNSやAIの影響を受けながらも、言葉が持つ本来の力をどう活かすかというテーマは、私たちに深いメッセージを届けてくれます。
俵万智は短歌をはじめとして、多くの作品を世に送り出している著者であり、彼女の視点は多様性にあふれています。言語が持つ力を見直すための道しるべとして、多くの読者に豊かなインスピレーションを与えることでしょう。
書店員が選ぶノンフィクション大賞の意義
この賞は、読者にとっても非常に重要な意味を持ちます。書店員たちが自信を持って推薦する作品は、旬で重要なテーマを扱い、多くの人々の関心を引くことが期待されます。ノンフィクションというジャンルが持つ力は、時にフィクション以上の感動を与えてくれるものです。
次回の受賞が発表されるのは2025年です。どの作品が栄冠を手にするのか、多くの人々がその結果を楽しみに待っています。