子どもたちの心のケアが求められる時代
新型コロナウイルスの影響を受けて、子どもたちの心のケアが特に重要になっています。熊本市教育委員会が提供する心のケア相談サービス『ほっとらいん』は、SNSを通じて子どもたちの相談に応じるシステムで、2018年から運用されています。このサービスは、心理的サポートを必要とする多くの子どもたちに新たな助けを提供する役割を果たしています。
SNS相談の背景
『ほっとらいん』は、専門の医師やカウンセラーだけでなく、大学生などが相談相手になることで、より身近に感じられる相談窓口を目指しています。特に、休校中には多くの相談が寄せられ、2019年にはたった2週間で254件もあったとのこと。2020年4月以降の臨時休校時期には、約2600人の児童生徒が利用登録しました。
医師であり、『ほっとらいん』に関与する宮川路子教授は、「新型コロナの影響で、子どもの心に変化が起きている」と指摘します。特に、学校が再開された際にも「通学したくない」という声が多く聞かれるようになり、これは幼少期から潜んでいた精神的な問題が休校期間中に顕在化したことが原因と考えられます。
「コロナうつ」と子どもたち
休校が解除されると、心理的負担から「学校に行きたくない」と訴える子どもたちが増えており、その背後には家庭における生活不安や親のストレスが影響していることが明らかになっています。親のストレスが子どもに与える影響についても考える必要があり、宮川教授は親自身のサポートが子どもを守る鍵になると述べています。
SNSがもたらす相談の敷居を下げる
最近、子どもたちの間では電話よりもSNSでの相談の人気が高まっており、理由として「電話だと誰かに聞かれるのが不安」「対話が苦手でもSNSなら安心」といった声が多数。SNSの活用により、子どもたちが気軽に外部に助けを求められる環境が整ってきました。
宮川教授が関わった『優先救済型SNS相談システム』は、子どもたちの心の状態を明らかにするための有用なツールとして評価されています。
8つのキーワード
子どもたちのメンタルケアにおける重要なポイントは、何よりもまず「子どもの不調を察知する」ことです。宮川教授が提唱した8つのキーワードは、親や教師が子どもたちのストレスのサインに気づくためのガイドラインです。
ただし、これらのキーワードがどのように解釈・運用されるかは、教育従事者や保護者による共同作業が不可欠です。
宮川教授は、「今後も新型コロナの第2波、第3波が訪れる可能性が高い。それに備えるためには、しっかりとした対策を講じておく必要がある」と警鐘を鳴らしています。
宮川教授のプロフィールと活動について
宮川路子教授は法政大学で教鞭を取りつつ、医療現場での活動も行っています。治療だけでなく、慢性的なストレスを抱える家庭へのサポートにも力を注ぎ、特に母親のメンタルヘルスにも配慮しています。医師としての経験をバックに、子どもたちやその家族が抱える問題に対し、専門的な見地から支援を行っています。
お問い合わせ先
相談サービスについての詳しい情報は、熊本市教育委員会にお問い合わせください。また、SNS相談システムに関する詳細は、エースチャイルド株式会社までご連絡を。
熊本市教育委員会事務局学校教育部総合支援課
TEL: 096-328-2743
e-mail:
[email protected]
エースチャイルド株式会社
e-mail:
[email protected]
この取り組みを通じて、少しでも多くの子どもたちが安心して心のケアを受けられる環境が整うことを願っています。