溶接なしで安全に!新たな接合技術SpS工法の誕生
株式会社コンステックと国立大学法人豊橋技術科学大学が共同で開発した「SpS(Steel-pipe Sandwiched)工法」は、従来の溶接による接合方法に代わる新しい技術として注目されています。この工法は、鉄骨造建物の耐震改修において、既存の円形鋼管部材(既存鋼管)と新設部材を、エポキシ樹脂接着剤を使用して接合します。
SpS工法の利点
SpS工法の最大の利点は、現場での溶接が不要であることです。これにより、溶接作業に伴う火災リスクを大幅に軽減できます。また、火気養生や残火確認が不要になるため、施工スケジュールにも柔軟性が生まれ、工事の効率化が期待されます。特に、可燃性の材料が多い工場や倉庫など火気厳禁の施設や、短時間での施工が求められる環境においては、この接合工法が特に適しています。
背景と課題
一般的に、鉄骨造建物の耐震補強では、溶接や高力ボルトによる接合が多く用いられていますが、可燃性材料を扱う工場や倉庫では、溶接を行うことができず、耐震改修が困難なケースもあります。さらに、現場溶接には厳重な火気養生が必要ですので、施工の制約が多く、工期が長引く場合も少なくありません。このような背景から、火気を使用せずに接合できるSpS工法の開発が進められました。
工法の概要
SpS工法では、まず新設部材が取り付く補強部材接合部と、その外側に接するせん断抵抗部で構成されます。補強部材接合部は、専用金物で既存鋼管を挟み込み、ボルトにより一体化した後、内部にグラウトを充填します。一方、せん断抵抗部は、内側にエポキシ樹脂を塗布した専用金物で既存鋼管を挟み込みます。
適用可能な既存鋼管の直径は48.6mmから318.5mmまでと広く、新設部材に制限はなく、様々な形状や寸法の鋼管に対応可能です。これにより、薄肉鋼管への適用時でも、溶接による変形を心配せずに施工できます。
特徴と実験検証
- - 火気養生が不要: SpS工法では現場溶接を行わないため、火気に関する安全対策が削減可能です。
- - 断面欠損が生じない: ボルト孔を設けずに施工できるため、鋼管の強度を保つことができます。
- - 施工の柔軟性: 溶接跡や不陸を残したままで施工でき、おおよその工事条件を満たすことができます。
各種試験も実施されており、SpS工法の性能は確認済みです。今後、さらなる技術発展が期待されます。
まとめ
安全性と効率性を兼ね備えたSpS工法は、耐震改修分野に革命をもたらす可能性を秘めています。この技術革新は、より安全な社会づくりに寄与するとともに、工事の効率化に貢献することでしょう。今後も、株式会社コンステックと豊橋技術科学大学の連携により、さらなる技術向上が進められることが期待されます。
参考情報
これからも、耐震技術の向上に期待しましょう。