新たな地域支援モデルがデザインの賞賛を受ける
国立大学法人筑波技術大学の准教授、梅本舞子氏がディレクションを担当したプロジェクト「ブリコラージュ」が、2025年度のグッドデザイン賞を受賞しました。このプロジェクトは、引退する競走馬たちの余生を支えることを目的とした拠点を設立したもので、茨城県の美浦村に位置しています。
プロジェクトの概要
「ブリコラージュ」は、馬と人との暮らしを再構築する新しい場として機能します。この場では、地域の子どもや障がい者、高齢者、さらには企業も集まり、農業振興、社会教育、リハビリテーションなど、さまざまな活動を展開しています。馬との共同作業を通じて得られる経験は、地域コミュニティの再生のモデルとして高く評価されています。
受賞を機に、プロジェクトは引退競走馬支援の普及を進め、誰もがその支援に参加できるような場の構築を目指します。
デザインの特徴
「ブリコラージュ」は、毎年5,000頭にも及ぶ引退競走馬の支援を目的とした設計です。厩舎は住宅規模に設計され、馬と人との信頼関係の再構築を意図しています。さらに、馬搬材を使用した開かれた建築物や広場、ぶどう畑が設けられ、馬との共同作業を可視化したランドスケープが採用されています。
デザイナーからの思い
梅本准教授は「馬と人との間合いを見つめ直すことで、支援の輪を広げたい」と考えています。また、馬との暮らしが特別なものではなく、日常生活に自然に溶け込む未来を目指しています。
評価の声
グッドデザイン賞の審査員からは、「馬と人との距離感を丁寧に設計し、地域社会との接続を図る点が非常に秀逸」と評価されました。動物福祉と地域活性の両立を目指す新たな支援モデルとして、今後の展開にも期待が寄せられています。
展示情報
受賞に伴い、「ブリコラージュ」は2025年11月1日から5日まで、東京・六本木の東京ミッドタウンで開催されるグッドデザイン賞受賞展に展示される予定です。これにより、プロジェクトの理念や意義を広く伝える機会となります。
グッドデザイン賞とは
グッドデザイン賞は、1957年に創設された日本を代表するデザインの評価制度であり、世界中の多くの企業や団体が参加しています。このプログラムは、暮らしの質の向上を図ると同時に、社会の課題解決にデザインを活かすことを目的としています。受賞のシンボルである「Gマーク」は、優れたデザインの証として広く認識されています。
公式情報