日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合の成果と未来の展望

日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合の成果と未来の展望



令和7年5月12日、総務省による第3回日EUデジタルパートナーシップ閣僚級会合が、デジタル庁と経済産業省の共同主催で開催されました。この会合には日本側から阿達総務副大臣、平デジタル大臣、竹内経済産業大臣政務官が出席し、EU側からはヘンナ・ヴィルックネン欧州委員会上級副委員長が共同議長として参加しました。

本会合では、両者の議論の成果としまして、共同声明が発表されました。ここでは、その内容に焦点を当て、今後のデジタル分野における協力の重要性を分析していきます。

1. 技術分野における協力の深化



共同声明の中で特に注目されたのは、新興技術分野における競争力、イノベーション、強靭性の強化です。半導体製造に関しては、PFASなどの化学物質の安全で持続可能な代替品の研究や、ヘテロジニアス・インテグレーション技術についての共同研究が強調されました。これにより、両地域における半導体供給の持続可能性が高まることが期待されます。

また、2025年4月から開始される「6G MIRAI-HARMONY」プロジェクトにおいても、未来の通信技術の共同研究が進行中です。特に、5GとBeyond 5G/6Gに関する研究は、今後の通信インフラにおいて重要な役割を果たすでしょう。

2. 人間中心のデジタルガバナンスの形成



次に、人工知能(AI)の分野でも、両者はイノベーションの促進を進める共通の意識を持っています。安全で信頼できるAIの導入を促進するため、具体的な合意文書の締結に向けての取り組みが重要です。この分野における協力は、国内外のAIガバナンスに対する取り組みを広げることにつながります。

デジタル・アイデンティティの整備や、データガバナンスに関しても意見交換が進められており、特に自動車産業におけるデータ共有の効率化が期待されています。これにより、信頼性の高いデータ流通が実現されるでしょう。

3. 経済安全保障を強化する取り組み



また、サイバーセキュリティにおいても両者の協力は進展しています。EUのサイバーレジリエンス法と日本のIoTセキュリティ基準への共同対応は、市場におけるセキュリティの向上に寄与するでしょう。海底ケーブルを通じたグローバルな接続性の確保や、半導体の経済安全保障も重要なテーマです。

4. 共同主導の協力的な道筋



最後に、日EUデジタルパートナーシップの未来に関する展望が示されました。次回の閣僚級会合は2026年にブリュッセルでの開催が予定されており、今後も両地域間の進捗を確認し合うアプローチが求められます。

今後も、デジタル分野における新たな協力の枠組みや技術的な課題に対して、両者がどのように連携していくのかが注目されます。これらの取り組みは、日本とEUのみならず、国際社会全体におけるデジタルガバナンスの進展に寄与することでしょう。

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