「もろみ日誌クラウド」MCPCアワード2025特別賞受賞の意義と展望

酒造業界に革新をもたらす「もろみ日誌クラウド」

2023年、日本酒製造の現場に特化したIoTクラウドシステム「もろみ日誌クラウド」が、MCPCアワード2025において特別賞を受賞しました。このシステムを開発したのは、大阪市に本社を構えるラトックシステム株式会社です。受賞の背景には、日本酒づくりの高度な技術の継承と現場の効率化を目指す、同社の取り組みがあります。

日本酒製造現場の現状

日本酒は、杜氏と呼ばれる職人たちの技術と経験により受け継がれてきた伝統的な産業です。しかし、熟練した技術者の減少や厳しい労働環境、後継者不足などの課題が山積しています。これらの問題を抱える中、ラトックシステムは「もろみ日誌クラウド」を開発し、酒造業界の現状を少しでも改善しようとしています。

もろみ日誌クラウドとは

「もろみ日誌クラウド」は、日本酒の製造過程で発生するさまざまなデータを自動で収集し、分析することで、製造の効率化と品質の安定を図るシステムです。このシステムは、もろみの温度や状態をリアルタイムで把握できるため、職人たちは現場での負担を軽減し、より良い酒造りに専念できるようになります。

特に注目すべき点は、スマートフォンを通じて遠隔での確認ができる機能です。この機能によって、杜氏や従業員が泊まり込みや深夜の巡回を減らし、働き方改革も進められるようになりました。今後、このシステムは日本酒づくりの現場に欠かせない存在となることでしょう。

受賞の背景と意味

MCPCアワードは、モバイルコンピューティングやIoTを駆使した革新事例を顕彰する制度です。今回の特別賞受賞は、単なる技術革新にとどまらず、本システムが現場での切実な声に応じて改良を重ね、実際のニーズに基づいている点が評価されました。これにより、酒造業界は持続的な発展を遂げ、次世代への技術継承が進むと期待されています。