日揮ホールディングス、廃プラスチックの油化リサイクルを実現へ
日揮ホールディングス株式会社(以下、日揮HD)は、この度、丸紅株式会社の子会社である丸紅インドネシア会社と契約を締結し、同社がインドネシアにおいて計画する廃プラスチックを原料とした油化ケミカルリサイクル事業の実現に向けた検討を開始しました。
背景
インドネシアでは急速な都市化と人口の増加により、廃棄物の発生量が著しく増加しています。特に廃プラスチックは未処理のまま埋め立てられることが多く、適切なリサイクルが行われていない状況です。その結果、プラスチックごみの海洋流出量は世界第2位に達するとの報告もあります。こうした環境問題に対処するため、インドネシア政府は「2029年までに30%の廃棄物削減」を目指す政策を策定し、製造業や飲食業に対する規制を強化しています。
事業内容
今回の契約では、丸紅インドネシア会社が現地スタートアップ企業PT Khazanah Hijau Indonesiaと協力し、廃棄物選別施設から複合プラスチックを抽出します。その後、日揮HDが保有する油化プロセスライセンス(Pyro-Blue®)を用いて、廃プラスチックの油化ケミカルリサイクルの事業化検討を進める予定です。
また、日揮HDは2025年夏頃までに本検討の結果をまとめ、丸紅インドネシア会社は2025年末を目指して事業性評価を実施します。さらに、日揮HDの技術研究所では、廃プラスチックの油化実証試験を行う計画も立てています。
環境への配慮
日揮グループは、「環境調和型社会」を目指し、環境負荷を低減するためのプラントや設備の建設、低炭素材の製造など多方面での取り組みを進めています。東南アジアの中規模都市における廃プラスチックの発生量に適した小型分散型の油化プラント展開を模索しており、今回の事業はその方向性に沿った重要なステップです。
Pyro-Blue®について
Pyro-Blue®は、日揮グループが開発した廃プラスチックの油化プロセスで、商用実績を持つ旧札幌プラスチックリサイクル株式会社の技術を基に、改良が施されています。塩化ビニル(PVC)やPETを含む難処理プラスチックも適切に処理可能であり、安全かつ効率的に運用されることが期待されています。
まとめ
廃プラスチックの油化リサイクルに取り組む日揮HDと丸紅インドネシア会社は、環境問題解決のための革新的なアプローチを進めています。今後の検討結果がどのように実を結ぶか、また廃プラスチックの削減にどれほど寄与するか、多くの期待が寄せられています。資源循環型社会を目指す中で、日揮HDの取り組みには注目が集まります。