森永乳業と物流企業、革新的な輸送方式で効率化と環境保護を実現
2024年4月から施行されるトラックドライバーの時間外労働上限規制、いわゆる「物流2024年問題」が迫る中、森永乳業株式会社を含む4社が新たな流通手法を導入し、輸送効率の向上と環境保護の両立を目指す取り組みを発表しました。この協力関係の中核には、森永乳業と日本通運、日本貨物鉄道、そして日本石油が存在します。
日本初のラウンド輸送
新たにスタートしたのは、盛岡および仙台から神戸へと向かう流動食の鉄道輸送です。特に注目なのが、31フィートのスーパーURコンテナを使った往復での運送です。この方式は、往路と復路で同じ荷主、すなわち森永乳業による統一した輸送が行われる点が特徴で、日本でも初めての試みとされています。これによって、従来の物流課題を解消し、さらに環境負荷を大幅に軽減することが期待されています。
冷蔵コンテナより優れた断熱性を持つスーパーURコンテナは、森永乳業が製造する流動食「エンジョイクリミール」シリーズや神戸工場での流動食に最適です。モーダルシフトを実現することで、長距離の輸送を可能にしながら、CO₂排出量は約72%減少する見込みです。
輸送効率と環境への配慮
今回の取り組みは、輸送力不足やドライバー不足が深刻な物流業界において、まさに救いの手となります。流動食の輸送ルートは広域にわたり、トラックドライバー不足の影響を受けやすいエリアにおいて特にその効果を発揮するでしょう。
従来は異なる荷主を見つけるのが難しく、空コンテナが無駄に往復することが多かった輸送において、今回の新しいラウンド輸送方式が導入されることで、資源の有効活用も図ることができます。日本通運および日本貨物鉄道の協力を得て、仙台と盛岡が効率的に結ばれることで、物流プロセス全体のコスト削減にも寄与することが期待されています。
持続可能な物流を目指して
日本国土交通省の認可を受けたこの一連の取り組みは、モーダルシフト加速化緊急対策事業として位置づけられ、持続可能な物流システムの構築に向けて一歩前進しました。
森永乳業の流動食とともに、他企業との連携による新しい輸送モデルは、今後の物流業界の未来を切り開く可能性を秘めています。この取り組みにより、より安定した輸送が実現し、トラック運転手の負担も軽減されることで、環境への配慮が具体的なものとなるでしょう。
持続可能な物流体制を築くためのこのコンソーシアムの活動は、今後も継続的に注目を集めていくことが予想されます。物流2024年問題という大きな壁に直面している中、新たなビジョンを持つ森永乳業とそのパートナー企業たちの挑戦は、業界全体にとって希望の光となることでしょう。