東京工科大学が国内初のAIスパコン導入で教育と研究の未来を切り開く

東京工科大学が国内初のAIスパコンを導入

東京工科大学は、日本の私立大学として初めて、NVIDIA DGXを基盤としたAIスパコンを導入することを発表しました。このステップは、AI教育と研究を進化させるための大きな一歩となります。今回導入されるのは、特に計算負荷の高い最新のAIワークロードに対して高いパフォーマンスを提供するNVIDIA DGX B200システムです。

東京工科大学のAI教育への取り組み

東京工科大学は、常に先進的な技術教育を行ってきました。特に、2019年に設置した人工知能専攻を皮切りに、全学部の学生がAIに触れられるプログラムを提供しています。大学は「AI大学」構想を掲げ、教育と研究の中核にAI技術を据えています。今年の4月には八王子キャンパスにAIテクノロジーセンターを開設し、研究の基盤を強化しました。

生野壮一郎教授は、「AIスキルを身につける最短ルートは実践にある」と語り、最新のデータドリブン型アプリケーションやシミュレーション技術の教育に力を入れています。学生たちは、デジタルツインを活用した産学連携プロジェクトにも参加し、多様な経験を積んでいます。

NVIDIA DGX B200システムについて

今回採用されたNVIDIA DGX B200システムは、国内で初めて導入される大学の一つです。学内の12台のDGX B200を、NVIDIA Quantum InfiniBandの高速ネットワークで接続し、スーパーコンピューターを設計。AIの学習性能は0.9 EFLOPS、推論性能は1.7 EFLOPSに達する見込みです。これにより、大学は国内最大のAIスーパーコンピューターを持つことになります。

教育・研究における活用計画

東京工科大学は、このAIスパコンを利用して以下のようなプロジェクトを進める予定です。まず、AI技術を実践的に学ぶためのプログラムを強化し、産業界で即戦力となる人材を育成します。また、専用の大規模言語モデルを活用し、教育や業務支援など様々な分野での応用を目指しています。

さらに、AI倫理に関する教育を行うための検証環境を整備し、デジタルツイン技術を用いた革新的な研究も進める計画です。これにより、学生は将来の社会に向けて、AI技術を駆使した柔軟な思考力を身につけられるでしょう。

未来のリーダー育成に向けて

学長の香川豊氏は、「AIリテラシーを持つ人材の育成が急務であり、東京工科大学は『AI as a TOOL』を掲げ国内最高レベルの教育環境を提供する」と話します。また、NVIDIAのサポートを受けて、生成AIやロボティクス、デジタルツインの技術を学生に学ばせることに尽力しています。

NVIDIAとの共同プロジェクトも進行中で、学内のデータセンターのデジタルツインを作成することを検討しており、最適な運用環境や効率的な運用方法をシミュレーションする予定です。

このAIスパコンは、八王子キャンパス内にあるAIテクノロジーセンターの「AI中核拠点（TUT AI CORE BASE）」に設置され、2023年10月には稼働を開始します。日本の将来を担うAI人材の育成に貢献するこの取り組みに、今後の展開が期待されます。