村松英俊の個展『Return to Stone』が開催中
2025年11月21日(金)から、東京の虎ノ門に位置するアートギャラリー「art cruise gallery」にて、村松英俊の個展『Return to Stone』が開かれています。この展示は、第10回目の展示として位置づけられ、村松が持つ独特のアプローチで、物と時間の関係を掘り下げた作品が並ぶ場となっています。
この個展では、通常の展示とは一線を画した特別なオーダー企画『Wear to Stone』が同時に行われています。こちらは、限定5名の参加者によるアートプロジェクトで、持ち主の思い出や歩みを刻むスニーカーを、村松の創作を通じて大理石のアート作品へと変える挑戦です。スニーカーに宿る履き皺や色落ち、ソールの減りといった時間の痕跡が、村松の手によって永遠のアートへと昇華されます。
アートとファッションの交差点
art cruise galleryは、アートとファッションが交わる独自の場所として知られています。その一環として行われる『Wear to Stone』は、使い古されたスニーカーをアート作品として再定義し、消費されるべき存在ではなく、時間と共に価値を深める造形物としての新しい視点を提供しています。このプロジェクトは、参加者にとっても村松の作品を通じて自らの記憶を永続化させる特別な機会といえるでしょう。
村松の芸術観
村松英俊は、「ものに宿る気配」をテーマに継続的に作品を創作しているアーティストです。彼の作品は、道具やモノが持つ時間の痕跡を石化することで、未来に記録を残すという独自のアプローチを採用しています。石という永続的な素材を用いて、見る者に時間の流れや存在の意義を問いかける彼の作品は、多くの人々に共鳴を呼んでいます。
『Return to Stone』の見どころ
村松の作品群は、古道具や日常的な道具の一部を石に変換することから始まります。彼の手元で大切にされてきたものたちが、いかに「石になりたい」と思わせるものになるのか、そのプロセスは見る者を魅了します。バイク、ギター、そして今展では特に目を引く「Maison Margiela」のシューズ『Replica』が大理石化された作品も展示されています。
『Return to Stone』のタイトルには、「すべての起源は石にある」という村松の思考が込められています。この考え方は、鉄やガラスといった人工物も同じく、もとを辿れば鉱石から生まれ、やがて再び石へと戻るという循環を示唆しています。彼の作品を通じて、過去・現在・未来の時間を横断しつつ「存在とは何か」という問いに向き合うプロセスが展開されているのです。
参加方法と詳細
『Wear to Stone』は、特別なアート体験として申し込むことができます。参加希望者は、art cruise galleryの店頭にて申し込みが可能です。限定5名のため、早めの申し込みが推奨されます。制作期間は受注から6〜12ヶ月で、参加者は自身の思い出を形にした作品を手に入れることができるでしょう。
この機会に、村松英俊のアートの世界に触れ、唯一無二の作品に参加してみてはいかがでしょうか。展示は2026年1月12日(月・祝)まで行われています。村松の作品がもたらす新しい視点や時間の流れに思いを馳せる、特別な体験をお見逃しなく。