9月29日、PHP研究所から新書『戦闘国家――ロシア、イスラエルはなぜ戦い続けるのか』が発行されます。本書は、ロシア研究の権威である小泉悠氏と、インテリジェンスの専門家小谷賢氏による対談をまとめたもので、現代の複雑な国際情勢を理解するための貴重な一冊です。
この本では、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争やイスラエル・ガザ戦争の根本原因を、インテリジェンスの観点から深く掘り下げています。特に、ロシアとイスラエルが持つ「滅びる前に滅ぼせ」という信念や、その歴史的・文化的背景について詳細に解説されています。小泉氏は、広大なロシアの国土を守るためには緩衝地帯が不可欠であるという意識が強く、また、イスラエルはホロコーストの経験から生じた生存の危機感が色濃く残っていることを強調しています。
本書の核となる部分は、両国の軍や諜報機関がどのように権力を支えているか、また先制攻撃の考え方がどのように深く根付いているかという点です。著者たちは、単なる時事的分析にとどまらず、その背景に横たわる思想の解明に取り組んでおり、読者は日本の「専守防衛」との違いをも見いだすことができるでしょう。
また、日本のインテリジェンス能力が低い理由についての考察も興味深い内容が詰まっています。小泉氏は、日本は長年にわたりアメリカの護衛の下にあり、情報収集や分析の重要性を軽視してきたと指摘します。さらに、軍事関連教育の不足が日本のインテリジェンスの弱体化を招いているとも警告しています。このような状況においては、中国や北朝鮮の脅威を考慮し、自国で情報を収集し判断する力の必要性がますます高まっています。
書目には、インテリジェンスとは何か、世界最強の情報機関、現代の地政学といった多岐にわたるテーマが取り上げられており、両国の戦略的視点を持つ上で欠かせない情報が詰め込まれています。特に、台湾有事を前に、どのように日本が立ち向かっていくべきかという将来の展望や提言も示されています。
著者紹介では、小泉悠氏と小谷賢氏の経歴が紹介され、彼らの専門的なバックグラウンドが本書の信憑性を高めています。小泉氏は東京大学でロシアの軍事と安全保障を研究し、小谷氏は危機管理学の専門家として多くの見地から分析を行っています。二人の深い対話は、読者に国際情勢に対する新しい視点を与えることでしょう。
戦争が我々の日常に与える影響、そしてその理解がなぜ重要なのか。この書籍を通じて、ぜひ新しい知識と視点を広げてみてください。