新たな電動車時代を切り拓くロームとZEEKR
ローム株式会社(本社:京都市)が開発した第4世代のSiC MOSFETベアチップが、中国の吉利集団の電気自動車(EV)ブランド「ZEEKR」の主要モデルに採用されることが決まりました。これにより、Eコマースを含む各国市場におけるEVの競争力が一層強化される見込みです。
ZEEKRに搭載されるロームのMOSFETの特長
ZEEKRの「X」、「009」、「001」の3車種にこの先進的な半導体技術が采用されており、特にトラクションインバータに使われています。これにより、ZEEKRは航続距離の向上と高性能化を実現しています。2023年度以降、ロームと正海集団が共同で設立した上海海姆希科半導体有限公司から、Geely傘下の寧波威睿電動汽車技術有限公司に対して量産出荷が開始されています。
ロームとGeelyの長期的なパートナーシップ
ロームとGeelyは、2018年に技術交流を開始し、2021年にSiCパワーデバイスに関する戦略的パートナーシップを結びました。この提携を通じて、両社は様々なプロジェクトに取り組んでおり、今回のように実質的な成果として、ZEEKRの三車種への搭載が実現しました。特に、これらの車両は航続距離だけでなく、運転性能や信頼性の面でも高く評価されています。
車種 | 出力 | 航続距離 |
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-- | - | ---- |
ZEEKR X | 300kW以上 | 400km以上 |
ZEEKR 009 | - | 822km |
ZEEKR 001 | 400kW以上 | 580km以上 |
このように、ZEEKRは各モデルに応じた性能を誇り、特に「009」は140kWhの大容量バッテリー搭載で最大航続距離822kmを達成しています。また、フラッグシップモデルの「001」ではデュアルモーターを採用し、400kWを超える出力に加え、4輪独立制御機構を持っており、高いハイパフォーマンスを実現しています。
未来に向けたロームの展望
さらに、ロームは2025年に次世代となる第5世代SiC MOSFETを市場に投入する計画を立てており、第6世代や第7世代の開発も前倒しで進行しています。これにより、SiCデバイスの普及が進み、持続可能な社会の実現に貢献できる体制を整えています。ロームの「EcoSiC™」ブランドは、今後も高性能で高効率な電動システムの構築に寄与することでしょう。
環境への取り組み
近年、環境への意識が高まる中で、カーボンニュートラルを目指す動きが活発化しています。今後、EV市場でのSiCパワーデバイスの重要性はますます高まると予想されており、ロームはそのリーダーシップを維持するために研究開発に力を入れています。
結論
ロームとZEEKRの提携は、EV市場における技術革新の証であり、今後の展開から目が離せません。両社の取り組みはEVの未来を切り拓く重要な一歩であり、これからも注目が集まるでしょう。