環境に優しいプリント技術の革新
株式会社ミマキエンジニアリングが、業界に新たな風を吹き込むテキスタイル・アパレル市場向けのダイレクト捺染インクジェットプリンタ「Tx330-1800」と「Tx330-1800B」を発表しました。この製品は、注目の「Waterless」技術を採用しており、従来の捺染方法に比べて水の使用量を大幅に削減しています。ミマキでは、2025年3月に開催される展示会「JAPAN SHOP」でこの新装置を初めて出展する予定です。
繊維業界の環境問題
繊維業界では、染色工程における膨大な水の使用が大きな環境問題とされています。染色過程で発生する廃水は、世界の工業水汚染の約20%を占めており、有害な化学物質が環境や人体に悪影響を及ぼすことも指摘されています。さらに、技術を受け継ぐ人手不足が深刻化しており、アパレルブランドは海外依存の製造工程に依存せざるを得ない現状があります。
ミマキの「Tx330-1800」は、ほぼ無水で捺染可能な点が大きな特徴で、環境への配慮を前面に押し出しています。この新製品により、デジタル捺染の市場がますます拡大すると考えられています。
特徴と利点
「Tx330-1800」および「Tx330-1800B」は、多様な生地へのプリントに対応し、専門的な染色知識や浄水設備を必要としません。捺染顔料インクと昇華染料インクを使用することで、天然繊維や合成繊維に広く適用可能です。従来の捺染方法では手間のかかる給排水作業が不要になるため、運用コストも削減され、より身近にプロセスを導入できるようになります。
プロセスの簡略化
これまでの水を大量に使う特殊な処理と異なり、「Tx330-1800」ではプリントとベーキング(熱処理)の2つの簡単な手順で捺染作業が完了します。このため、短期間での生産が可能となり、サンプル作成や小ロット生産にて顧客のニーズに即応できる点でも優れています。
また、ハイブリッドモデルの「Tx330-1800」は、布地と紙のプリントに切り替える際の操作も簡単で、ファブリックサインからインテリアファブリックまで、小規模なロットから製作が可能です。そのほか、壁紙やポスター印刷も可能で、店舗やイベントブースのトータルコーディネートを提供する力を強化しています。
アパレル生産への影響
さらに、「Tx330-1800B」は省スペースデザインで、使いやすい搬送システムを導入し、限られたスペースでもアパレル生産を効率的に行えるよう配慮されています。伸縮性のある生地から厚手・薄手の多様な布地への対応が可能なため、小ロット多品種の生産が可能になり、クリエイティブなデザインを実現します。
展望と価値
ミマキエンジニアリングは、「Tx330-1800」と「Tx330-1800B」を2025年4月に予定した価格で販売すると発表しています。それに加え、RIPソフトウェア「TxLink5」によって、多台数プリンタでの生産環境での利便性が向上する点も注目です。
持続可能性と革新性が両立するテキスタイル・アパレル業界への大きな一歩となるこの製品は、今後幅広く使われることでしょう。