出光興産とGreen Carbonが手を組みカーボンクレジット創出に挑む
出光興産株式会社とGreen Carbon株式会社は、フィリピンのイザベラ州でのカーボンクレジット創出プロジェクトに関する契約を締結しました。これにより出光興産が出資を行い、Green Carbonはプロジェクトの事業化に向けた詳細な検証を実施することになります。このプロジェクトによって得られたカーボンクレジットは、日本とフィリピンの双方に配分され、出光興産は主に自社の排出量削減に利用する一方、Green Carbonは日本市場での販売を計画しています。
フィリピンの温室効果ガス排出の現状
フィリピンの農業分野から排出される温室効果ガスの量は年間約5,400万トンに達しています。この中で、特に水田からのメタン排出が大きな問題となっており、約1,300万トンが水田に由来しています。フィリピンの稲作は、水田に常に水を張る方法を取るため、土壌に酸素が供給されず、メタンを排出する微生物が活発化してしまいます。
日本における稲作は、間断灌漑という手法を用いており、土壌に酸素を供給することでメタンの排出量を抑えることに成功しています。これを用いてフィリピンの水田にも導入することが、今回のプロジェクトの大きな目的です。
プロジェクトの具体的な取り組み
本プロジェクトでは、間断灌漑によって水田からのメタン排出量を削減します。この取り組みを通じて、フィリピンの農業分野におけるGHGの排出量を減少させることを目指しています。プロジェクトにおいて発行されるカーボンクレジットは、二国間クレジット制度に則り、事業化に向けた運用確認を行っていく予定です。
出光興産とGreen Carbonは、2026年の事業化を目指して、フィリピンの現地関係者と協力しながら進めていく方針です。また、カーボンクレジットの発行には、JCM(Joint Crediting Mechanism)方法論「PH_AM004 Ver1.0」を適用し、第三者機関によって検証を行うことで信頼性を確保します。
各社の役割
出光興産は1940年に設立され、燃料油や基礎化学品、電力・再生可能エネルギーなど広範な事業を展開しています。今回のプロジェクトでは出資者として関与します。一方、Green Carbonは2019年に設立された企業で、カーボンクレジット創出事業の開発やESGコンサルティングを行っています。彼らは現地のステークホルダーとの調整を行い、農家の参加を確保し、プロジェクトの成功に向けたトレーニングやモニタリングを実施します。
このように、出光興産とGreen Carbonの協力により、フィリピンの農業におけるGHG排出量削減が期待されます。カーボンクレジットの創出事業は、持続可能な未来への重要な一歩となるでしょう。