出光興産、SAF製造体制を強化
出光興産株式会社(本社:東京都千代田区)は、経済産業省のGX経済移行債を活用し、山口県周南市の徳山事業所において持続可能な航空燃料(SAF)の製造設備を設置するプロジェクトを開始します。このプロジェクトは、2050年に向けた温室効果ガス排出ゼロを実現するための重要な取り組みとして、2025年2月20日付で採択されました。
プロジェクトの背景と目的
最近の環境問題への関心の高まりとともに、航空業界もその脱炭素化を目指しています。出光興産は、SAFの国際規格「ASTM D7566 Annex2」に認証されたHEFAプロセスを用いて、年産25万kLのSAFを製造する計画です。この新たな製造設備は、2028年度までに本格的に運転を開始することを目指しており、全体の事業費の一部はGX経済移行債によって賄われます。
SAF製造設備の設計と原料調達
現在、出光興産は2025年度内での最終投資決定に向け、基本設計に取り組んでいます。原料としては、廃食油や大豆油を始め、将来的にはポンガミアなどの油糧植物を使用して温室効果ガス削減に寄与する方針です。このプロジェクトは、事業の一貫したサプライチェーンを確立し、原料の調達から製造、販売に至るまでを一体化させる取り組みとも言えます。
エネルギーとカーボンニュートラルへのコミットメント
出光興産は、エネルギー分野におけるカーボンニュートラルソリューションのリーダーを目指しています。この事業は、化石由来のエネルギーをカーボンニュートラル燃料に転換するCNX(Carbon Neutral Transformation)センターとして進化させる一環と位置付けられています。とくに、SAF製造は2030年に向けた優先事業の1つであり、国内供給体制を年50万kLへと拡大する意向を示しています。
結論
出光興産のSAF製造事業は、航空業界の持続可能性とカーボンフットプリントの軽減に寄与する重要なステップです。この取り組みは、政府の支援を受けつつ、持続可能な航空燃料の社会実装を加速するものとなります。環境意識の高まりとともに、出光興産のSAF事業がどのような影響をもたらすか、引き続き注視していく必要があります。