高齢化と義務化が加速させる相続登記の増加
不動産テック企業のTRUSTART株式会社は、2024年4月に開始された相続登記義務化に伴う相続登記の動向を調査し、その結果を発表しました。調査によると、2023年5月から2024年4月までの1年間で、43都道府県において相続登記申請件数が増加し、そのうち19都道府県では前年比20%以上の増加が見られました。
この増加傾向は、日本の高齢化と相続登記義務化の影響が大きいと考えられます。相続登記義務化は、相続が発生した際に、相続人全員で登記手続きを行うことを義務付ける制度です。この制度により、これまで相続登記が未了だった不動産の登記手続きが進められ、相続登記件数の増加につながっていると考えられます。
都市部よりも地方での増加率が高い理由
興味深いのは、都市圏よりも地方での増加率が高いことです。調査によると、関東一都三県(東京、埼玉、千葉、神奈川)や関西二府四県(大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山)は、相続登記増加率上位20都道府県に含まれませんでした。
この現象は、都市部よりも地方の方が、過去の相続登記未了不動産が多いという背景が考えられます。地方では、相続登記義務化以前は、相続登記の手続きが煩雑であったり、費用がかかったりするため、未了のまま放置されているケースが多かったと考えられます。しかし、相続登記義務化によって、相続登記の必要性を認識する人が増え、未了だった不動産の登記が進められていると考えられています。
新制度「相続人申告登記」の現状
2024年4月に新設された「相続人申告登記」制度は、相続が発生した場合、相続人が申告することで、登記簿に相続人情報を登録する制度です。この制度は、相続登記の手続きを簡素化し、相続登記の促進を図ることを目的としています。
しかし、この制度の初月の申請件数は全国で約1,100件と、控えめなスタートとなりました。これは、制度が開始されたばかりであり、過去の相続登記未了の不動産に関しても、3年間の猶予期間が終了するまではまだ時間があるためと推察されます。
TRUSTART株式会社は、今後も相続登記の動向や「相続人申告登記」制度の利用状況を調査し、その結果を公開していく予定です。
不動産ビッグデータ活用で様々な業界を支援
TRUSTART株式会社は、「人とデータで全てを可能にする」というパーパスを掲げ、不動産ビッグデータを活用した様々なサービスを提供しています。主なサービスは、不動産ビッグデータ分析レポートや、クラウド型のSaaSプロダクト「R.E.DATA Plus」です。
「R.E.DATA Plus」は、全国の不動産の異動登記情報を自由に閲覧できるサービスで、不動産業界だけでなく、金融業界、インフラ業界など、幅広い業界で活用されています。不動産ビッグデータの活用によって、新規見込客へのダイレクトアプローチや法人・個人のプロファイリングなどが可能になり、企業のマーケティング活動を支援しています。
TRUSTART株式会社は、今後も不動産ビッグデータの活用によって、社会に貢献していくことを目指しています。