デジタルと人の温もりで進化する地方創生の未来を探る
2025年1月に発行される『自治体DXガイド Vol.5』は、自治体と企業が取り組む地方創生の新しい形を提案します。今回の特集は、「デジタル×人の温もりで実現する持続可能な移住促進」と「自治体医療DX最前線」の二つの柱から成り立っています。
人とデジタルがつながる豊岡市の新戦略
兵庫県豊岡市では、「飛んでるローカル豊岡」というブランドのもと、UIターン促進および関係人口の拡大に向けた革新的な戦略を展開しています。市が構築したワンストップ支援体制では、移住相談、住まい、仕事に至るまでのサポートが一箇所で受けられます。特に、月間5万PVを誇る移住ポータルサイトの運営は、多くの人々に市の魅力を伝える大きな役割を果たしています。
豊岡市の地域おこし協力隊は、67.5%という高い定着率を達成しており、デジタルと人的支援を組み合わせた持続可能な移住促進策として評価されています。これにより、新しい住民とのふれあいや地域の文化が活発化し、相互の信頼関係を築く土台ができていくのです。
メタバース活用の最前線
最近では、メタバースを通じた移住相談や婚活の取り組みも進んでいます。株式会社m-Labの村上沙織氏によると、メタバースの利用は、地域の魅力を効果的に発信する新たな手法として注目されています。福井県越前市では、メタバース空間を活用した移住相談会を実施し、70名近い参加者が実際の交流を通じて地域の理解を深めています。また、山形県庄内町では、メタバースを用いた婚活が展開され、参加者から新しい出会いを生み出しています。
デジタル化が促進する地域医療の未来
一方、長野県伊那市では、医療MaaS(Mobility as a Service)を導入して、地域医療を支える新たな試みが行われています。オンライン診療機能を搭載した専用車両による訪問診療サービスが実績を上げており、特に妊産婦健診での活用も進んでいます。医療現場でのデジタル化は、生まれたばかりの赤ちゃんとその母親の健康を支える新たなインフラを築くことに寄与しています。
メロディ・インターナショナル株式会社の尾形優子氏も、遠隔医療を利用して地域の産科医不足を克服する取り組みについて言及しています。モバイル型分娩監視装置「iCTG」や遠隔医療プラットフォーム「Melodyi」を活用し、地域医療の質を向上させています。能登半島地震の際には、地域医療のイノベーションがその真価を発揮しました。
今後の展望
『自治体DXガイド Vol.5』は、全国の自治体や医療関連の担当者に向けて配信され、デジタルトランスフォーメーションを通じた地域課題の解決に貢献することを目指しています。このガイドを通じて、地方創生の取り組みがさらに加速し、地域の未来が明るくなることを期待しています。地方自治体と事業者が地域社会を共に支えるパートナーシップの重要性も再確認されるでしょう。