金融審議会が検討するサステナビリティ情報の開示と保証の新制度とは
金融庁の金融審議会が進める「サステナビリティ情報の開示と保証のあり方に関するワーキング・グループ」では、サステナビリティ情報の開示基準とその保証体制についての議論が行われています。本ワーキング・グループの第4回会合は令和6年10月10日に開かれ、多くの専門家が意見を出し合いました。
会議の概要
会議は対面とオンラインのハイブリッド形式で開催され、ライブ中継も行われました。議論の中心は、これまでの開示方法や今後の保証制度についてでした。事務局からは、新たにスケジュールと具体的な開示方法について説明があり、委員たちは活発に意見を交わしました。
サステナビリティ情報の二段階開示
議論の一環として、サステナビリティ情報に関する二段階開示の考え方が提案されました。この方式は、初年度に限り現行の開示規制に基づいてサステナビリティ情報を開示し、訂正報告書を通じて後から補足するものです。このアプローチは、企業の負担軽減を図る意図がありますが、外部からは新たな負担が増えるのではないかとの懸念も示されています。特に、「訂正」することで企業の負担が重くなる可能性があり、慎重な検討が求められています。
保証制度とその担い手
また、保証制度については、当面はScope 1およびScope 2に対してのみ保証が求められる方向性が示されていますが、多くの委員から保証の範囲が狭すぎるのではないかという意見も挙がりました。特に、Scope 3に関する情報開示の重要性が強調され、将来的にはより広範な情報が保証対象となるべきとの意見が多く寄せられました。
国際標準との整合性
日本国内の制度設計については、国際的な動向を踏まえた議論が必要とされ、特に欧米の開示基準と比べて遅れをとらないようにすることが強調されました。特に、サステナビリティ情報と財務情報の整合性確保が重要視されており、将来的には監査法人以外の専門機関も保証業務への参加が期待されています。
まとめと今後の見通し
このような議論を踏まえ、次回のワーキング・グループでは更なる議論を進め、開示制度の最適化に向けた具体的なロードマップを明示することが求められています。意見交換を通じて、個々の企業に負担の少ない形での制度構築を目指しつつ、サステナビリティ情報の透明性や信頼性向上を図る必要があるでしょう。