作家荒俣宏氏が激賞する新刊
日本の博物画史に名を刻む伝説的な画家、伊藤熊太郎。彼は明治時代に生まれ、独自のスタイルで魚類の博物画を描き、特にアメリカに多くの作品を残しました。新刊『海を渡った天才博物画家 伊藤熊太郎 謎に包まれた金魚図譜を追って』は、彼の生涯や作品についての詳細を知ることができる貴重な一冊です。・
アルバトロス号と伊藤熊太郎
1846年、上野に生まれた伊藤は、17歳のときに画工としての修行を始めます。その後、彼の人生を変える出来事が訪れます。それは、海洋調査船アルバトロス号への乗船です。この船に乗ることで、長いアメリカでの生活が始まりました。彼は約15年間、米国水産局で博物画を描き、多くの魚類の美麗な画像を遺しました。
新発見された「魚譜」
この本は、新たに発見された「魚譜」全31点を全カラーで収録しています。これは視覚的にも楽しめる価値の高い資料です。伊藤の作品は、ただの図鑑にとどまらず、芸術として評価されています。著者の福地毅彦氏は、伊藤の生涯やアメリカでの活動を細かく追い、さらに博物画の未来にも言及しています。
伊藤の謎に挑む
本書では、伊藤熊太郎の謎に迫っていきます。『魚譜』は本当に彼の手によるものなのか、印刷か肉筆か、などの鑑定も行われています。古書店の専門家や、さまざまな学者たちが集まり、この謎を解明しようとしています。特に、金魚の品種に関する新たな発見も多く、読者はその知識を深めることができます。
博物画の歴史とその位置づけ
また、博物画とは何か、その過去と現在、将来についての考察も含まれています。文中には、博物画が技術だけではなく芸術であるべきだというメッセージが込められており、伊藤の作品が持つ影響力や意味を再考するきっかけとなるでしょう。
結論
この新刊は、博物画や日本の自然史に興味がある人々にとって、必読の書です。伊藤熊太郎の作品や生きざまを通して、日本とアメリカの文化の交差点を感じ取ることができるでしょう。最初の読者からの評価も高く、今後の研究においても重要な一冊となることでしょう。是非手にとって、彼の世界を探求してみてください。