EMEとマルホの共同研究開発契約について
株式会社EME(Epsilon Molecular Engineering)は、製薬会社のマルホと新たな共同研究開発契約を締結し、医薬品の創出を目指すプロジェクトを推進します。この契約の目的は、ヒト化VHH抗体の取得およびその活性評価試験・臨床開発を行うことであり、両社の専門性を活かした新しい医薬創出への道筋を描いています。
契約の内容
本契約では、EMEが抗原調製を行い、そのプラットフォームを利用して適切な抗体候補を見出すことに重点を置いています。EMEが選別した開発候補は、マルホによる活性評価試験から臨床開発へと進められ、さらには契約に基づく報酬体系が設けられています。具体的には、契約一時金の受領が今期中に行われ、研究開発の進行に応じてマイルストーンフィーがEMEに支払われる仕組みです。以降、開発が非臨床試験に進む場合は、追加の契約が締結されることとなります。
この道を通じて、EMEは新たな医薬品開発のポテンシャルを広げ、未来の治療法を提案していく考えです。
EMEの技術
EMEが持つ技術の一つに、PharmaLogical® Libraryと呼ばれる独自のヒト化VHH人工ライブラリーがあります。これは、従来の抗体では認識できなかった抗原結合部位を特定するために設計されました。VHH抗体は、通常の抗体よりも高い安定性や修飾性を持つことが特徴です。これにより、より効率的な医薬品開発が期待されています。
加えて、cDNA display技術を活用することで、実験室内で目的のタンパク質を取得することが可能であり、これがEMEのスクリーニング能力を大幅に向上させる要因となっています。
画期的な抗体の設計
EMEのPharmaLogical® Libraryは、既存のVHH抗体の結晶構造解析データに基づき設計されています。特に、抗原認識に重要な3つのCDR(相補性決定領域)をアルパカ由来のVHHから情報を得て設計し、その中でも抗原結合への寄与が大きいCDR3の多様性を強化したことが特長です。この設計により、より高い医療効果が期待できるユニークな抗体の開発が可能となっています。
また、製剤化過程での不均一性を引き起こす原因となるアミノ酸の出現頻度を制御するための工夫が凝らされており、創薬プロセスの課題を軽減するための設計が施されています。
社会への貢献
EMEは、2016年に設立されて以来、革新的なモダリティ医薬品の開発に取り組むバイオベンチャーです。自主開発だけでなく、診断薬や再生医療用試薬の共同研究開発を通じて幅広い分野での社会貢献を目指しています。企業ミッションとして「未来のバイオ分子を創造する」を掲げ、常に前進しています。
この共同研究開発契約が、EMEとマルホの双方にとって新たな医薬品の開発を刺激し、ひいては医療の現場に新しい希望をもたらすことを期待しています。その進展に注目していきたいと思います。
詳しい情報は、EMEの公式ホームページをご覧ください。
EME公式サイト