豆富移動販売の染野屋、離職率を大幅に低下させた取り組みとは

1862年に創業された老舗の豆富店、株式会社染野屋は、茨城県取手市に本店を構え、東京ヘッドオフィスも持つ企業です。代表取締役社長兼CEOの八代目染野屋半次郎である小野篤人氏の下、同社は移動販売員の離職率を劇的に改善する施策を行ってきました。2022年の離職率84.0％から2024年4月～7月の25.0％まで大幅な改善を果たしました。

スタッフの満足度向上に向けた取り組み

離職率の低下は、従業員の満足度を向上させるための多岐にわたる取り組みが実を結んだ結果です。社内イベントやサークル活動、全従業員への誕生日プレゼント贈呈など、楽しく働ける環境づくりに努めています。特に、コロナ禍においては「子連れ勤務可能制度」の導入を通じ、働く女性たちに配慮した職場環境を整えたことが評価されています。

動画で伝える社風と採用環境の激変

更に、同社は社外へ向けたYouTubeを通じ、社内の様子を広く配信することで企業文化をアピールし、求職者に対してより良い理解を促進しました。これが求人応募の増加や離職率の低下に寄与したと考えられています。

給与の底上げで新たな活気

2023年3月1日には、移動販売員の最低固定給を一律40,000円増加する方針が決定されました。経験問わず27万円から30万円のスタート給与に加え、歩合給も支給される体制に。「20代・30代のスタッフが多く、活動的な職場環境が実現している」と小野氏は語ります。今後は物価上昇にも応じたさらなる給与の引き上げを検討中です。

新卒就職者の離職率と業界の厳しさ

2023年10月20日に発表された厚生労働省のデータによると、新規学卒者の離職率は高い数値を示しており、高卒で37.0％、大卒が32.3％と報告されています。小売業界においてはさらに高く、48.3％と多くの企業が人材不足に直面しています。昨今の厳しい状況において、企業としての対応が求められています。