休止期の線維芽細胞が肌のハリを左右する? ポーラ化成工業が新たな発見!
ポーラ・オルビスグループの研究開発を担うポーラ化成工業株式会社は、ヒト真皮由来の線維芽細胞の細胞周期だけでなく、増殖を休止している「休止期」にも着目し、画期的な研究成果を発表しました。
これまで、線維芽細胞はコラーゲンなどのタンパク質を生成し、肌のハリを保つ重要な役割を担っていることは知られていました。しかし、細胞が分裂・増殖を繰り返す「細胞周期」の状態だけでなく、増殖を休止している「休止期」の状態も、肌のハリに大きく影響することが明らかになってきました。
ポーラ化成工業の研究チームは、線維芽細胞が休止期に入ると、細胞周期中の状態とは異なるタンパク質「F13A」を増加させることを発見しました。F13Aは、DNA損傷の修復、細胞増殖、コラーゲン産生の活性化に関与していることが分かり、休止期の線維芽細胞が単に増殖を休止しているのではなく、肌のハリ維持に重要な役割を果たしていることを示唆しています。
さらに、研究チームは、クダモノトケイソウ果皮エキスとアーチチョーク葉エキスの組み合わせが、休止期の線維芽細胞におけるF13Aの発現を促進することを発見しました。これらの植物エキスは、F13Aの産生を活性化することで、線維芽細胞の活動を促進し、肌のハリやリフトアップ効果に貢献する可能性が期待されています。
この研究成果は、肌のハリを維持するための新たなメカニズム解明につながるだけでなく、エイジングケア化粧品開発にも大きく貢献する可能性を秘めています。今後、ポーラ化成工業は、F13Aと植物エキスの作用メカニズムをさらに深く研究し、より効果的な美容成分や化粧品の開発を進めていく予定です。
ポーラ化成工業の研究内容の詳細
1. 休止期の線維芽細胞で増加するタンパク質「F13A」
線維芽細胞は、皮膚の真皮においてコラーゲンなどのタンパク質を産生し、肌のハリを保つ重要な役割を担っています。細胞は、分裂・増殖を繰り返す「細胞周期」と、増殖を休止している「休止期」の状態を繰り返しています。
ポーラ化成工業の研究チームは、真皮由来の線維芽細胞を休止期に導く条件で培養したところ、細胞周期中の状態に比べて、F13Aというタンパク質の遺伝子発現量が大幅に増加することを発見しました。
2. F13Aの役割:DNA修復、細胞増殖、コラーゲン産生の活性化
研究チームは、F13Aの役割を調べるため、休止期の線維芽細胞にF13Aを添加する実験を行いました。その結果、F13Aは、以下の効果を示すことが明らかになりました。
DNA損傷の修復:F13Aを添加すると、DNA修復に関連する遺伝子の活性化が確認され、DNA損傷量が減少しました。
細胞増殖の活性化:F13Aを添加すると、細胞周期中の状態に戻り、細胞増殖が促進されました。
* コラーゲン産生の活性化:F13Aを添加すると、コラーゲン産生が促進されました。
これらの結果から、F13Aは、休止期の線維芽細胞において、DNA修復、細胞増殖、コラーゲン産生を活性化し、肌のハリ維持に重要な役割を果たしていると考えられます。
3. クダモノトケイソウ果皮エキスとアーチチョーク葉エキスによるF13A産生の促進
研究チームは、休止期のF13A産生をさらに高めることができる成分を探索した結果、クダモノトケイソウ果皮エキスとアーチチョーク葉エキスの組み合わせが有効であることを発見しました。これらの植物エキスを添加すると、休止期の線維芽細胞におけるF13Aの発現がさらに増加しました。
4. 今後の展望
ポーラ化成工業は、F13Aと植物エキスの作用メカニズムをさらに深く研究し、より効果的な美容成分や化粧品の開発を進めていく予定です。今回の研究成果は、肌のハリを維持するための新たなメカニズム解明につながるだけでなく、エイジングケア化粧品開発にも大きく貢献する可能性を秘めています。