株式会社コーセーが見いだした老化連鎖の秘密
株式会社コーセー(東京・中央区)は、肌の老化に関する新たな重要な知見を発表しました。今回、同社の研究チームは「老化連鎖miRNA」という特定のマイクロRNA(miRNA)を発見し、この物質が老化した細胞から放出されることで周囲の細胞に老化を引き起こす連鎖のメカニズムを解明しました。この研究の成果は、2025年にフランス・カンヌで開催される国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)学術大会で発表される予定です。
肌の老化と老化連鎖の融合
肌の老化はしわやたるみを引き起こし、美容上の重要な課題となっています。最近の研究によると、老化細胞が蓄積することで、その周囲の細胞にも老化が広がる現象、いわゆる「老化連鎖」が注目されています。このメカニズムを解明し、老化の連鎖を断つことができれば、エイジングケアに大きな影響をもたらす可能性があります。
コーセーの研究では、まず真皮に存在する線維芽細胞を老化させ、細胞外小胞に含まれる全てのmiRNAを解析しました。その結果、老化した細胞から著しく増加するmiRNAが明らかになりました。このmiRNAは細胞間のコミュニケーションに深く関与しており、老化細胞同士のやりとりにも影響を与えることが示唆されています。
老化連鎖miRNAの発見と影響
次に、研究者たちは特定のmiRNAが肌を構成する主要細胞の老化にどのように影響を与えるかを検証しました。その結果、老化細胞から放出されたmiRNAが他の細胞にも老化を引き起こすことが明らかになりました。さらに、ヒトの皮膚組織にこのmiRNAの模倣物質を添加した試験では、皮膚内のエラスチン線維が劣化し、加齢による変化と類似した影響が観察されました。
ノイバラ果実エキスの効果
また、老化連鎖miRNAの生成を抑制する成分を探索した結果、ノイバラ果実エキスが有効であることが確認されました。このエキスを線維芽細胞に添加すると、老化連鎖miRNAのレベルが減少することが証明されたのです。この発見は、今後のエイジングケア製品の開発において大きな可能性を秘めています。
今後の研究と展望
今回の研究により、老化細胞から放出される老化連鎖miRNAが周囲の細胞や組織に老化を広げる重要な因子であることが示されました。これを基に、老化の連鎖を断ち、効果的なエイジングケアへのアプローチが期待されています。今後、コーセーは引き続き老化現象に対して多角的な研究を進め、お客様の様々なニーズに応えられる製品開発を目指していきます。