レモン果汁が鶏むね肉のやわらかさを向上させる新発見
ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社は、鶏むね肉をレモン果汁に浸すことで、そのやわらかさに与える影響を研究しました。この研究結果は日本調理科学会2024年度大会で発表される予定です。
研究の背景
健康志向の高まりとともに、鶏肉への需要が増加していますが、鶏むね肉がパサつくといった声も多数寄せられています。そこで、ポッカサッポロではレモン果汁の保水効果に着目し、鶏むね肉をやわらかくする方法を探りました。
これまでの研究で、レモンの保水性が向上することは確認されていますが、本研究ではその結果を更に深掘りし、さまざまな加熱調理方法における影響やメカニズムについても検討しました。
研究方法
研究には、2.5cm四方にカットした鶏むね肉を用い、浸漬液として未処理、純水、100%レモン果汁を使用しました。調理法としては、茹で、焼き、揚げの3種類を選び、食感の評価には官能評価と物性評価の両方を行いました。
評価基準では、官能評価は11名のパネルによる相対評価を、物性評価はクリープメーターを使って破断強度を測定しました。さらに、ミオシンとコラーゲンの量も分析しました。
研究結果
研究の結果、レモン果汁に浸漬した鶏肉は、やわらかさにおいて顕著な改善が見られました。特に、浸漬時間が0.5時間を過ぎた時点で、茹でた鶏肉の噛み切りやすさが有意に向上し、非常に柔らかくなることが確認されました。
また、レモン果汁に2時間浸漬した場合には、焼きや揚げた際の変形しやすさも改善され、すべての加熱方法においてやわらかさが保たれることが明らかとなりました。さらに、調理後1時間から2時間が経過しても、鶏肉の硬さがそれほど増しませんでした。
軟化のメカニズム
レモン果汁に含まれるクエン酸が鶏肉のpHを酸性に偏らせることにより、保水率が高まり、硬くなる要因である筋原線維タンパク質の分解が促進されました。これにより、鶏肉がやわらかくなる結果が導かれたのです。
まとめ
この研究から、レモン果汁による鶏むね肉の浸漬が、さまざまな調理法において食感を向上させる効果があることが示されました。今後は、この知見を基に家庭や業務用での鶏肉の調理にレモンを取り入れることが進められることが期待されています。レモンの有用性が広まり、皆さんの料理がさらに美味しくなる日を待ち望んでいます。