味の素冷凍食品がTIS社と提携し業務効率化を実現
味の素冷凍食品株式会社は、TIS株式会社との協業を経て、ウォルターズ・クルワー社の企業経営管理統合プラットフォーム「CCH Tagetik」を導入しました。このシステムの導入により、同社の年次予算策定業務が大幅に効率化され、年間120時間の作業短縮が実現しました。また、損益レポートの作成が即日で行えるようになり、業務時間を88%削減しました。
導入の背景
1970年に創業した味の素冷凍食品は、冷凍食品業界のリーディングカンパニーとして知られ、多くの人気商品を展開しています。近年、同社では迅速な意思決定をサポートするデータ基盤の構築が急務であり、特に予算策定業務においては以下の2つの課題に直面していました。
1.
予算策定作業の負担増加: 例年9月から約3ヶ月かけて行われる予算策定作業では、事業部がExcelに販売目標を入力し、その後の原価計算、利益目標決定までが手作業で行われており、かなりの手間がかかっていました。
2.
老朽化した月次実績管理システム: 経営企画部が運営する月次実績管理システムが約20年使用され、老朽化し、さらに予実管理機能が欠如しているという課題もありました。
このような状況を踏まえて、味の素冷凍食品は新しいシステムの導入を決定しました。
TISとCCH Tagetikの選定理由
味の素冷凍食品は、まずBIツールをトライアル導入しましたが、その要件を満たせず、次にEPM製品の検討に進み、ウォルターズ・クルワー社のCCH Tagetikを選びました。その理由は以下の通りです。
- - 柔軟な配賦機能: 複雑になった業務部門の構成に対応し、配賦計算が容易になることで、予算策定や月次の予実管理を共通化。
- - 大量データの処理能力: 数千万件の明細データを一元管理できる能力が、業務の効率化につながると判断。
- - 導入実績の豊富さ: TISの信頼性やCCH Tagetikの導入実績に基づいた提案が、大きな決め手となりました。
プロジェクトの進行状況
プロジェクトは2023年1月に開始され、2024年4月の稼働を目標に進捗しました。TISと味の素冷凍食品、そしてNRIシステムテクノによる共同プロジェクトチームが構築され、決まったスケジュールのもと、定期的な会議や情報共有を行いながら進行しました。特に、多段階配賦ルールの理解と実装に向けて、TISがヒアリングを重ね、十分な情報をもとに開発を進めました。
導入後の効果
導入が無事に完了し、2024年11月から「CCH Tagetik」の活用が始まりました。このシステム導入後の効果は次の通りです。
- - 作業時間の大幅削減: Excelでの作業が年間約120時間も短縮され、損益レポートの即日作成が実現。
- - 自動化による効率化: データ収集プロセスが自動化され、調査・分析業務に想定以上のリソースを割けるようになりました。
- - データの可視化と進捗管理: 商品別や事業部門別の売上進捗が明確になり、営業や開発などの各部門がデータに基づいた迅速な意思決定を行えるようになりました。
まとめ
味の素冷凍食品の川崎英明氏と藤居紀子氏は、「TISがリーダーシップを発揮し、スムーズなプロジェクト進行を実現してくれた」と述べ、アジャイル型プロジェクト進行が工期短縮に寄与したことにも感謝の意を示しています。今後、さらに進んだデータ活用や新しい人材の育成への支援を期待する声も上がっています。
この事例からもわかる通り、デジタル化の波は企業の各種業務における効率化や自動化の重要な手段であることは間違いありません。味の素冷凍食品の取組みは、企業がどのようにITを活用して成長戦略を支えるかの好例に他ならないでしょう。