名古屋市に新たに誕生した認知症疾患医療センター
2024年12月1日、名古屋市中村区に位置する偕行会城西病院が「名古屋市認知症疾患医療センター」として新たに指定を受け、開設されることが発表されました。このセンターは、認知症に関する専門的な医療相談や診断を行い、問題が深刻化した際の対応も行う専門機関です。中村区では唯一のセンターとなり、センター長は病院長の錫村明生氏が就任します。本センターは、名古屋市内で6番目の施設として開設されることになります。
認知症疾患医療センターの役割とは?
認知症疾患医療センターは、都道府県や政令指定都市が指定する医療機関で、認知症に特化したサービスを提供します。全国で506か所、名古屋市内には既に5か所存在しています。このセンターでは以下のような主な事業を行います。
1. 専門的な医療相談
2. 認知症の鑑別診断と治療
3. 認知症による行動や身体合併症への急性期対応
4. かかりつけ医向けの研修会
5. 認知症に関する情報発信
このように、専門の医師や看護師が揃い、適切な検査と医療功能を備えた機関として設立されています。
認知症医療センター設立の意義
1. 早期の正確な診断
認知症には様々な種類があります。たとえば、アルツハイマー型やレビー小体型、脳血管性など、各々に応じた適切な治療法が必要です。しかし一般の病院では、その特定が難しい場合もあります。認知症疾患医療センターでは、専門医による慎重な鑑別診断が行われるため、早期に正確な治療が可能です。
2. 地域医療との連携強化
認知症患者が住み慣れた環境で暮らし続けられるためには、地域のかかりつけ医との連携が不可欠です。このセンターは、地域の医療機関や支援センターと連携し、患者の生活を支援するネットワークを構築します。
認知症高齢者の増加と名古屋市の現状
厚生労働省の研究によると、日本の認知症高齢者は2050年には584万人に達する見込みです。このような背景の中、名古屋市も高齢者の増加が顕著であり、特に中村区では65歳以上の高齢者が約35,000人に達し、高齢化率は25%を超えています。これは、「超高齢社会」と呼ばれる状況であり、認知症の対策が急務とされています。
偕行会城西病院の取り組み
これまでも偕行会城西病院では、2015年に神経内科外来を開設し、2017年からは「もの忘れ外来」を展開して認知症の早期発見と治療に注力しています。また、2021年には認知症の診断に必要なSPECT検査機器を導入し、更なる研究と施策を進めています。地域住民にも参加を促す「認知症カフェ」や、出張講演会なども行い、認知症啓発活動にも力を入れています。
センター長のメッセージ
センター長の錫村院長は、認知症には治療が可能な部分と困難な部分があり、どちらにしても早期発見が重視されると強調しています。「認知症の症状に不安がある方は、ぜひ当院や地域のかかりつけ医に相談してください」と呼びかけています。
この新しい認知症疾患医療センターの開設により、地域の高齢者が安心して暮らせる支援体制が整い、名古屋市における認知症医療の向上が期待されます。