台湾の化合物半導体業界がシリコンフォトニクスへ進化する時代

台湾の化合物半導体業界が注目される理由

台湾の化合物半導体業界がシリコンフォトニクス用レーザー需要に焦点を当て、急速な成長を遂げています。特に、AIデータセンターの拡大がこの動きを後押ししており、従来の欧米企業への依存から脱却する姿勢が見られます。台湾の主要企業である聯亜光電、華星光通、全新光電が、InP（インジウムリン）半導体レーザー市場で存在感を増しています。

AIデータセンターとシリコンフォトニクス

AIがもたらすデータセンターの通信速度向上に伴い、シリコンフォトニクス技術の需要が高まっています。特に、半導体レーザーは、外部光源としての役割を担っており、その需要は急増しています。聯亜光電はデータセンター向けの売上が全体の約70%を占めており、華星光通は誼虹科技と協同して受注の倍増を見込んでいます。これにより、台湾が次世代光通信技術において主導的な役割を果たすことが期待されています。

エヌビディアとデルタ電子の連携

また、エヌビディアがAIサーバー用の電力供給を従来の54Vから800Vの高圧直流に転換する中で、デルタ電子が開発したSiC（炭化ケイ素）半導体変圧器が注目を集めています。この変圧器は96.5%の高効率を実現し、次世代データセンターにおける省エネ化に貢献しています。デルタ電子はグレースペース設備市場において、欧米の大手企業と競争する構えです。

AI・EV市場の受動部品需要

さらに、受動部品メーカーである国巨（ヤゲオ）や華新科技（ウォルシン）がAIやEV向けのハイエンド受動部品を強化しています。ヤゲオは芝浦電子の買収を通じて温度センサーやIC事業を拡充し、ウォルシンは大容量MLCCの市場シェアを拡大させています。中小企業でもAIサーバーに対応した製品の需要が高まっており、鈺邦科技や興勤電子が存在感を増しています。

台湾の機械設備製造業の成長

台湾専用の機械設備製造業も高成長を遂げており、2025年の初めの8ヶ月間での輸入額は前年比で66%増、輸出額も14%増を達成しています。特に、半導体設備に対する需要が急増し、「電子・半導体生産用設備製造業」は71%の大幅な成長を示しています。米国や中国への輸出も1割を超える成長を見せており、2026年の半導体投資も引き続き期待されています。