奈良市の生活保護業務におけるデジタル化の取り組み
奈良市では生活保護業務の全ての段階でデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、その業務における効率化を図っています。具体的には、申請や調査、支援、情報処理など多岐にわたる業務フェーズにおいて、デジタル技術を整備し、事務の効率化に成功しています。
DX化の主な取り組み
奈良市が主軸とするDX化の取り組みは以下の4つがあります。
1.
資産調査のオンライン化(ピピットリンクの導入)
生活保護の決定に必要な預貯金の照会をオンラインで行えるようにし、従来の約2週間の回答待機時間を最短3日程度に短縮しました。このシステムは令和6年4月より一部で試験運用を開始し、9月から本格的に運用されました。
実際には、令和6年度の預貯金照会総数16,544件のうち約37.5%にあたる6,217件が電子照会を利用し、事務作業の効率化を実現しました。
2.
申告等のオンライン化(LoGoフォームの活用)
生活保護の受給者が自宅からスマートフォン等を使って収入申告を行える仕組みを整えました。この取り組みにより、令和6年度の電子申請による収入申告件数は2,132件に達し、利用者の利便性が向上しました。さらに、医療券のオンライン申請を令和7年度から本格運用予定です。
3.
RPAの導入(ロボティック・プロセス・オートメーション)
生活保護費の算定や支給処理のルーチン業務を自動化するため、RPA技術が導入されました。これにより、全体で年間約697時間の事務処理時間が削減され、ヒューマンエラーも抑制される結果となりました。
4.
AI支援の導入(WAISEの活用)
AI技術を活用し、生活保護業務に関する情報検索を容易にするサービスを導入しました。このサービスにより、経験の浅いケースワーカーでもベテラン職員の知識に依存せずに迅速に情報を得ることが可能になりました。
DX化の実績と今後の展望
これらの取り組みを通じて、令和6年度の受給者訪問率は約22.7%、就労支援件数は約32.2%の上昇を見せ、時間外勤務も約4.9%削減されました。今後もこの流れを加速させ、さらなる市民サービスの向上を目指します。
結論
奈良市の生活保護業務に対するデジタル化の取り組みは、多大な効率化をもたらし、サービスの質向上にも寄与しています。今後の進展にも注目です。