冷凍寿司の流通拡大に向けた新たな挑戦と可能性・コラボは進化を促す

冷凍寿司の流通拡大に向けたソリューション検討会

2025年12月17日、冷凍寿司の市場拡大及び業界の課題を解決するための「冷凍寿司の流通拡大に向けたソリューション検討会」が開催されました。この会議には、冷凍寿司の製造から提供までを支える6社が参加し、それぞれの技術と知見を共有しました。

開催の背景

「冷凍寿司元年」ともいえる現在、食品業界は深刻な人手不足に直面しています。その中で、冷凍寿司は安定した品質での提供が可能なため、これまで寿司を届けづらかった地域やシーンでの新たな食文化の定着に寄与しています。また、政府も日本食の輸出拡大を重要視しており、冷凍寿司はこの流れの中で大きな期待を集めています。実際、2025年に多くの寿司ブランドが参入予定で、そのための標準的なオペレーションが整備されつつあります。

参加企業一覧

検討会には以下の6社が参加しました。

- 寿司酢: 株式会社Mizkan
- シャリ玉製造: 鈴茂器工株式会社
- 凍結: デイブレイク株式会社
- 容器: 株式会社エフピコ
- 少量解凍: パナソニック株式会社
- 大量解凍: 株式会社ラショナル・ジャパン

これらの企業は、冷凍寿司の供給チェーンを性能と品質の両面で強化するための連携を深めています。

ゲスト評価者の招待

ゲストとして、冷凍寿司の導入が考えられる小売業界の代表や行政機関からも評価者が参加しました。

- 株式会社ダイエー
- 株式会社マルエツ
- 農林水産省農産局企画課 のメンバーが参加し、実際の需要を考慮したリアルな意見が求められました。

実施内容の前半

前半では、各企業が自社の製品や取り組みを紹介しました。特に注目されたのは、Mizkanが持ち込んだ解凍後もご飯の粒立ちを維持する炊飯調味液や、江戸前寿司店から評価を受けている寿司酢です。また、鈴茂器工が提案するプロの握りを再現するシャリ玉ロボットは特に好評で、業界の期待を集めています。

一方、容器の株式会社エフピコは、冷凍寿司専用容器の開発が話題となり、運送や保管時の耐寒性が重要な要素として挙げられました。また、パナソニックとラショナル・ジャパンからは、各社の解凍の強みに関するプレゼンテーションが行われ、解凍プロセスが品質に与える影響が再認識されました。

実施内容の後半

後半では、二つのシーンを想定して冷凍寿司のテストを行いました。一つはスーパーや飲食店などでの少量解凍、もう一つはイベントやホテルでの大量提供です。これにより、解凍と盛り付けの品質の一致度やオペレーションの課題についても議論が行われました。

ゲストの意見

多くのゲストから、冷凍寿司の品質やその保管方法に関するフィードバックがありました。ダイエーの小林秀峰さんは、冷凍寿司が様々なネタに対応できるかどうか、その再現性が重要だと強調。また、マルエツの齊藤順紀さんは、冷凍・解凍技術が食品業界において重要なテーマであることを象徴する意見を述べました。農林水産省の代表からも、冷凍寿司の製造技術を実際に見ることができた意義について言及され、今後の政策支援の必要性が示されました。

今後の展望

デイブレイクの木下代表は、「冷凍寿司の未来を形作るために、各工程をつなげることがカギ」と述べ、今後の展望に対する意気込みを語りました。彼は、アメリカへの冷凍寿司の輸出を進める中で、人手不足や品質管理の重要性を訴えました。冷凍寿司の進化はまだ始まったばかりで、関係企業との連携がその可能性を更に広げることになると期待しています。

デイブレイクの冷凍寿司技術

デイブレイクは、高品質の冷凍寿司を提供するために「アートロックフリーザー」という特殊冷凍機を使用しています。この機械は、素材本来の風味や食感を保持しながら、高品質な冷凍食品を製造するためのテクノロジーを先進的に駆使しています。冷凍寿司は2025年6月から日系スーパーで本格的に販売される予定で、期待が寄せられています。

この検討会は、冷凍寿司市場拡大の第一歩となることでしょう。多様な背景を持つ企業が協力し合うことで、新たなビジネスチャンスが生まれることを期待しています。