アジア8カ国における訪日旅行者の期待と購買傾向の分析
株式会社データスプリングは、訪日パネルを活用し、アジア8カ国の訪日経験者と訪日意向者を対象に調査を行いました。調査は、タイ、台湾、中国、ベトナム、香港、フィリピン、インドネシア、韓国の8カ国で実施され、今回は訪日前の期待、訪日後の満足、さらに購入意向商品について分析しました。
1. 訪日前の魅力、東アジアと東南アジアの相違点
調査結果から、アジア各国の訪日経験者と意向者の意見はおおむね一致したものの、注目すべき点は地域による違いです。特に、訪日経験者と意向者の間で共通して人気が高いのは「伝統的日本料理」であり、これは各国で共通の魅力として挙げられました。
しかし、東アジアでは「温泉への入浴」が特に高く評価され、韓国では「現地人が日常的に利用するカジュアルな食事」に対する関心が高く見られました。これは、文化的・地理的な近さから、日本の観光地だけでなく、より日常的な体験に興味を持つ傾向が反映されていると考えられます。一方、東南アジアでは「桜の鑑賞」などの季節限定の自然体験への期待が強く示され、これが訪日動機に大きな影響を与える可能性を示唆しています。
2. 訪日を考察する段階での主要競合
訪日を検討している段階のデータでは、他の旅行先として多く挙げられたのは中国、韓国、シンガポール、台湾です。特に東南アジアでは、韓国が圧倒的に多く挙げられ、これは近さや費用面でのライバル視が影響していることが推測されます。
例えば、シンガポールは近代的な都市景観や豊富なショッピング施設、多様な食文化で東京や大阪に似た観光資源を持ち、短期間で効率的に楽しめる旅行先として訪日旅行と比較されやすくなっています。日本への旅行を考える中で、これらの国々の魅力がどのように作用するかは今後の訪日旅行の変動要因の一つとなるでしょう。
3. 購買傾向に見る地域ごとの人気カテゴリー
訪日旅行者が購入したい商品として最も多く挙げられたのは「お菓子」、次いで「食品・飲料」、そして「美容・化粧品」の3つのカテゴリーです。この傾向は訪日経験者と意向者双方に共通して見られました。
国ごとの違いも明らかで、中国では「アニメ・漫画関連」商品の人気が特に高く、韓国や台湾では「薬・医薬品」に対する購入意向が目立ちました。また、東南アジアの国々では「洋服・アパレル関連」や「美容・化粧品」が上位に位置しており、地域による特有の嗜好が顕著に現れています。これは、各国の文化的背景や訪日旅行者の期待が異なることを示しています。
まとめ
このたびの調査結果から、日本を訪れる旅行者が抱く期待や体験に対して非常に多様な面があることが確認されました。訪日経験者と意向者の意識や行動に見られる違いを分析することで、「初めて訪れる旅行者」と「再訪を考える旅行者」の考え方にどういった差があるかが浮き彫りになりました。
今後は、特定の国や属性、商品カテゴリーに焦点を当てた深堀り調査を実施することで、さらなる戦略立案が期待されます。
訪日パネルについて
データスプリングの「訪日パネル」は、アジア8カ国で数百万人規模の参加者を有し、パスポート写真の提出による訪日事実確認など、高品質な調査が可能です。このパネルを通じて海外の消費者の旅行意向から旅行後の行動に至るまで、幅広い消費者行動を理解し、各国の詳細な比較分析を行うことが可能です。引き続き、特定のニーズを持つ層への調査や未開拓市場の可能性分析に役立てていく所存です。
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