DNPが打ち出す新たな半導体製造技術
大日本印刷株式会社(DNP)は、半導体製造における最新のナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術を進化させ、回路線幅10nmのテンプレートを開発しました。この新しいテンプレートは、従来の技術に比べてコスト効率が良く、高度な環境配慮も実現しています。
先端半導体製造の需要
近年、スマートフォンやデータセンターなど様々なデバイスが高性能化しています。これに伴い、半導体の微細化が求められており、特にEUV(極端紫外線)リソグラフィによる生産が広がっています。しかし、EUV技術には高額なコストと大量の電力消費が伴うため、製造コストの削減と環境への配慮が課題となっていました。
DNPはこれを受け、2003年からナノインプリント法を基にしたテンプレートの開発を進めてきました。この技術により、製造プロセスを簡素化し、電力消費を抑制できる製品へと進化しています。
新たに開発したテンプレートの特徴
今回の10nmテンプレートは、NAND型フラッシュメモリだけでなく、最先端ロジック半導体の微細パターンにも対応可能です。以下は、その主な特徴です:
- - ダブルパターニング技術:描画装置によって形成されたパターンに成膜・エッチングを施し、パターンの密度を2倍にすることで、更なる微細化を実現。
- - フォトマスク技術の応用:DNPが長年培ってきたフォトマスク製造の技術を応用し、10nmのNILテンプレートを生産。
- - 省エネルギー効果:従来の露光工程と比較して、電力消費量を約10分の1に抑えることができ、環境に優しい製造を推進。
今後の展望
DNPは今後も半導体市場のニーズに応じた製品の開発を進め、2027年に量産を開始することを目指しています。また、NIL用テンプレートの評価ワークも始めており、この分野での技術革新をリードすることを目指します。
さらに、2025年12月には東京ビッグサイトで開催される「SEMICON Japan 2025」で新製品を展示し、業界に対して革新的な取り組みをアピールする予定です。DNPは2030年度にNILによる売上を40億円増加させることを目標に、技術の進化と市場ニーズに応える努力を続けていきます。