三菱電機の新技術「CielVision」について
三菱電機株式会社が発表した空中ディスプレイ「CielVision」は、空中にリアルな映像を高輝度・高精細で表示する革新的な技術です。独自の空中プロジェクション光学技術とデジタル映像処理技術が組み合わせられたこのディスプレイは、視認性の向上と省スペース化を実現し、様々なシーンでの応用が期待されています。
空中ボタンの背景
近年、デジタル技術の進歩に伴い、利用者に高い臨場感を提供できる空中ディスプレイへの関心が高まっています。従来の空中ディスプレイ技術では、コストを抑えるための再帰反射方式が一般的でした。しかし、その方式では光損失の問題により、表示される映像が暗く、解像度が不十分であることが課題でした。
三菱電機はこの課題を解決すべく、新たに開発した「CielVision」によって、自由曲面ミラーを用いた光学設計を採用。これにより、従来の技術に比べて光の利用効率を最大400%向上させ、空中映像の視認性を大幅に向上させることに成功しました。
技術的な特徴
「CielVision」の最大の特徴は、自由曲面ミラーを用いた新たな空中プロジェクション光学技術と、ソフトウェアによる映像処理技術が融合している点です。これにより、高輝度・高精細な映像が歪みなく表示できるのです。さらに、2D映像の表示だけでなく、空中映像の重畳機能によって、ゴーグルなどの装着なしにもしっかりとした立体感を体験することが可能となっています。これにより、利用者は裸眼でリアルな3D映像を楽しむことができるのです。
さまざまな応用
「CielVision」の開発により、従来の技術では難しいとされていた状況においても空中映像を活用できます。例えば、屋外での高輝度な表示が必要とされるシーンや、公共の場での案内表示、さらには通路の中央に設置することで、より利用者の視界に近い位置で情報を提供することが可能になります。これにより、道路や公共交通機関での指示表示に活用することで、直感的な意思決定のサポートが期待されます。
展示会情報
今回の技術は、2025年10月14日から17日にかけて幕張メッセで開催される「CEATEC 2025」に出展されます。この展示会では、実際に「CielVision」を体験できる機会が設けられ、観客はウェアラブル機器を使用せずに空中映像の立体感を楽しむことができます。
今後の展望
三菱電機は、今後もこの技術を活用した様々なXRソリューションを創出していく方針です。具体的には、高速道路での安全性向上に向けた逆走防止システムや、次世代自動車向けのHMI(ヒューマンマシンインターフェース)、医療現場での非接触型手術支援など、多岐にわたる分野における展開が期待されています。
このように、空中ディスプレイ「CielVision」は、ただの技術革新にとどまらず、私たちの生活に大きな変革をもたらすポテンシャルを秘めています。サステナビリティを考慮しつつ、さらなる技術革新を目指す三菱電機の次なる展開から目が離せません。