2025年4月8日、コロラド州のコロラドスプリングスで開催された第40回 Space Symposiumにて、ispace-U.S.が米国の宇宙インフラのリーダー企業であるRedwire Corporationとの間で、商業月面探査ミッションに関する協力覚書を正式に締結しました。この提携は、月面経済の発展を目指し、NASAの商業月面輸送サービス(CLPS)を利用して未来の探査ミッションを推進するものです。
Redwireは、NASAのCLPSプログラムの主要請負業者の一つとして、月面探査に必要なインフラを提供する役割を担っています。CLPSは、2028年までに26億米ドルの予算を持つプログラムで、月面探査技術の商業化を進めることを目的としています。ispace-U.S.は、Redwireと連携し自社の次世代ランダー「APEX1.0」を用いて、NASAとその他の顧客に月面輸送サービスを提供できることを目指します。
この新しいランダーAPEX1.0は、以前のRESILIENCEランダーの開発経験を活かし、より大きなペイロードキャパシティを実現しています。これにより、顧客の必要に応じて、月面や月周回軌道への輸送が可能な多機能プラットフォームが提供されます。
ispace-U.S.のCEOエリザベス・クリストは、「当社は民間月面探査の分野で独自のポジショニングを確立しており、イノベーションと確かな技術に基づくサービス提供により、商業ミッションの成功に貢献していく」と語っています。彼女の発言には、自社の技術力と業界での経験を最大限に活かし、顧客に信頼感をもたらす決意が表れています。
Redwire Corporationのマイク・ゴールド社長も、ispace-U.S.との連携を大いに期待しています。「この提携により、月周回軌道の重要なインフラを提供し、商業的な探査ミッションの推進を実現したい」と述べ、両社の連携が新たな月面開発の可能性を広げる事を強調しました。
ispaceは、月面資源を活用した持続可能な世界の実現を目指しており、月市場におけるプレゼンスをさらに拡大していくことで、自社のビジョンを実現していく考えです。2022年にはSpaceXのFalcon 9を用いて、志望の初期ミッションを成功裏に実施し、2025年には更なるミッションを予定しています。これらのプロジェクトは、月へのアクセスをより手軽にすることを目的としており、コンステレーションプランやNASAのアルテミス計画にも寄与することが期待されています。
このようには、米国の宇宙企業同士の提携が進むなか、商業月面探査の未来はますます明るいものとなっています。月面からの資源を獲得し、そこから得た知見を地球に還元するというビジョンが、現実のものとなる日が訪れるのを見越して、ispace-U.S.とRedwireはともに邁進していくことでしょう。