三菱電機が開発した新しい発電モジュールの可能性とは

自然の力を利用した新技術

三菱電機は、わずかな動きから効率的に発電できる電磁誘導発電モジュールを新たに開発しました。この技術は、そよ風や水流、人の歩行など、身近な動きから電力を得ることができるため、配線や電池の交換が不要な低消費電力の機器やセンサーに応用が可能です。この革新技術は、IoTセンサーの設置範囲を飛躍的に広げ、データ取得や分析によるデジタルトランスフォーメーション（DX）の推進、カーボンニュートラルの実現に寄与します。

背景と課題

近年、地球温暖化やエネルギー危機に対する対応が求められ、特に日本では「2050年カーボンニュートラル」の実現を目指す活動が進められています。これに伴い、省エネルギーや再生可能エネルギーの利用が急務ととなる中、微小なエネルギーを電気に変換する「環境発電（エネルギーハーベスティング）」が注目されています。しかし、これまでの技術では発電量が微弱で不安定なため、発電が難しい場面が多く存在していました。この問題を解決するため、三菱電機は新たな発電モジュールの開発に取り組みました。

開発した新技術の特長

この電磁誘導発電モジュールは、独自に開発した複合磁気ワイヤーを使用し、高出力化を実現しています。マグネットとコイルを最適な配置で組み合わせることで、以前は発電できなかった微細な動作からでも効率的に電力を生成することが可能となりました。試作した床発電設備では、床を一度踏むだけで従来の圧電素子を用いた装置の100倍となる200mWの発電量を確認しました。この発電方法は、継続使用による劣化を抑え、今後の長期的な使用においても安定した電力供給を実現します。

具体的な利用事例の実証実験

実証実験では、この電磁誘導発電技術を用いた床発電システムが次々と評価されています。床板を人が踏むことで得られた発電量を活用し、温度データを無線で送信することも確認され、これにより無線式のIoTセンサーを活用した新しいセンシングシステムが構築可能となります。このシステムは、交通量調査や環境データの取得に役立つ新しいインフラを提供することが期待されています。