三崎亜記の待望の新作、現代の「見えない戦争」を描く
2025年3月17日、株式会社KADOKAWAから三崎亜記の新作長編小説『みしらぬ国戦争』が出版されます。本作は、作家生活20周年を記念する作品として位置付けられ、三崎のデビュー作『となり町戦争』と対になる内容になっています。特異な世界観と緻密な描写で名を馳せる三崎亜記が、再び「戦争」というテーマに挑むその意義は、今の時代と深く結びついています。
物語の舞台
『みしらぬ国戦争』の物語は、国名や位置すら不明な「未確認隣接国家(UNC)」の侵略によって引き起こされた交戦状態を描いています。人々は2年間も続くその戦争に対して心を傾けず、数字だけで表現される戦況が、どこか遠い世界の出来事のように感じていました。物語の主人公であるユイも、海岸で漂着物を確認する任務に従事しながら、日常生活を送っています。
ユイの隠された目的は、両親の形見に刻まれた謎の文字の正体を解明することです。この謎を追う過程で、彼女はその文字の記された漂着物を集める男性や、その言語の歌を歌う女性たちと出会います。彼らとの交流を通じて、ユイは失われた記憶を取り戻すための手がかりを求めていきます。
隠された真実
本作品は、まさに現代版の「裸の王様」とも言えるかもしれません。しかし、注目すべきは「王様が裸」ではなく、真実を見ようとしない私たち自身です。この小説を通して、読者は「見えない戦争2.0」とは何かを考えさせられます。隠されているからこそ、「見えなさ」が生まれ、真実が見えづらくなるという今の時代の特徴を、三崎は鮮明に描き出しています。
作家活動20周年の節目
三崎亜記のデビューは2004年、彼女のデビュー作『となり町戦争』は瞬く間に話題となり、数々の賞にノミネートされました。それから20年を迎える今回は、原点に立ち返りながら新たな視点から戦争を見つめなおします。荒唐無稽なファンタジーのようでありながら、同時に私たちの日常にもリンクしたストーリーが繰り広げられます。この新作を通じて、唯一無二の三崎ワールドを体験し、深い余韻に浸ることができるでしょう。
書誌情報
『みしらぬ国戦争』は、280ページで構成され、定価は1,980円(本体1,800円+税)です。同日の3月17日には電子書籍版もリリース予定です。この機会にぜひ、三崎亜記の最新作を手に取って、その魅力を肌で感じてみてください。
著者について
三崎亜記(みさき あき)は1970年に福岡県に生まれ、熊本大学文学部を卒業後、2004年に『となり町戦争』でデビューしました。以後、多くの作品を手がけながら、独自のスタイルと魅力を発揮しています。興味深いキャラクターと深いテーマが交錯する彼女の作品は、社会的なメッセージを含んだものが多く、常に読者を惹きつけています。特に、今作では「見えない戦争」という切り口から、現代の喧噪の中で何が見え、何が見えないのかという問いかけをします。
現代社会における「見えない戦争」を通じて、私たちは何を学ぶことができるのでしょうか? 知識だけでなく、心の中の何かを揺り動かされることを期待しています。読者の皆さんもぜひ、その答えを求めて『みしらぬ国戦争』をお楽しみください。