キリン、ウェアラブルデバイス治療のCala Healthに出資し新たな健康価値創出を目指す

キリン、Cala Health社に出資

キリンホールディングス株式会社（以下、キリン）は、独立系ベンチャーキャピタルであるグローバル・ブレイン株式会社と共同で設立したコーポレートベンチャーキャピタルファンド「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」を通じて、ウェアラブルデバイスを用いて振戦（手の震え）の治療を行うCala Health, Inc.（以下、Cala Health社）に出資することを発表しました。出資日は2024年12月23日です。

振戦とは何か？

振戦は、脳神経系に属する疾患であり、患者の日常生活、特に食事に大きな影響を与えることがあります。これにより、精神的健康にも悪影響を及ぼし、QOL（生活の質）が低下する深刻な問題です。現在、多くの治療法が存在しますが、従来の薬物療法や外科手術には副作用や患者への負担が多く、治療の選択肢が限られてしまうことが課題となっています。

Cala Health社の革新的なアプローチ

Cala Health社は、2013年に設立され、スタンフォード大学発のスタートアップ企業です。彼らは、振戦の治療を目的としたウェアラブルな神経刺激デバイスを開発しています。このデバイスは、患者固有の手の震えを測定し、手首の末梢神経に電気刺激を与えることで、脳に正常な神経伝達を記憶させるという革新的な技術を採用しています。

従来の治療法と比較しても、安全で効果的な自宅治療が実現可能であり、すでにFDAや米国の公的医療保険制度でも承認を受け、米国市場での販売を拡大しています。Cala Health社の技術は、振戦以外の神経系に関連する疾患への応用も期待されています。

キリンのヘルスサイエンス領域の発展

今回の出資を通じて、キリンはヘルスサイエンス領域において新たな視点を取り入れ、神経系へのアプローチを強化します。キリンは、長期的な経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を掲げ、「食から医にわたる領域で価値を創造する」ことを目指しています。これにより、従来の「食領域」や「医領域」に加え、「ヘルスサイエンス領域」の育成にも力を入れています。

「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」の概要

キリンのCVCファンド「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」は、ヘルスサイエンス関連のスタートアップに焦点を当て、革新的な技術やビジネスモデルに対して投資を行っています。このファンドが目指すのは、短期的なシナジー創出にとどまらず、中長期的な価値の創造です。スタートアップの新しいアイデアと技術を活用し、キリンのヘルスサイエンス領域の強みと組み合わせることで、顧客の生活をより豊かにするソリューションを提供します。