大学と企業の認識差が浮かび上がる─外国籍人材の日本語教育に関する調査
行知学園株式会社(東京都新宿区、代表取締役:楊 舸)は、外国人留学生や外国籍人材の日本語能力に関する重要な調査を実施しました。この調査は、サービス業界での人事担当者や経営層と大学及び専門学校の教職員に向けたもので、それぞれの日本語能力に対する認識を比較したものです。
調査背景
大学を卒業した留学生に対して、「日本語で十分にコミュニケーションできる」というイメージが一般にあります。しかし、実際には、これらの留学生が卒業後、ビジネスシーンで即戦力となるには、日本語能力が不足しているケースが多々見受けられます。ここには、「現場で必要な日本語力が不足している」という企業の声が反映されているのです。
大学と企業の間で外国籍人材の日本語能力に関する認識に大きな差がある可能性を考え、調査を実施しました。
調査結果
大学側の視点
大学・専門学校の教職員を対象に行った調査では、以下のような結果が得られました。
- - 約8割が「外国人留学生の就職時点の日本語能力は高い」と回答
- - 約8割が「学内で日本語支援を実施している」と回答
- - 約9割が「卒業までに必要な日本語能力を提供できている」と回答
これらの結果から、教育機関が提供する日本語教育に手応えを感じていることが伺えます。
企業側の視点
一方、サービス業界に従事する企業の人事担当者や経営層を対象にした調査では、以下のような認識が浮かび上がりました。
- - 約9割が「外国人従業員に日本語教育を行っている」と回答
- - 教育における「人材不足」「時間不足」「教育体制の不備」などの課題を指摘
- - 特に「顧客対応」「ビジネス敬語」「職場コミュニケーション」における日本語力不足が目立つ
企業側は、日本語教育の重要性を認識しながらも、実務に直結する能力の不足を懸念していることが明らかになりました。
認識のギャップ
調査の結果、大学は「十分な日本語教育の支援ができている」と考えているのに対し、企業は「現場で必要な日本語能力が不足している」と感じていることが明らかです。この認識の違いが、外国人留学生や外国籍人材の就職活動における困難を生んでいます。
特に、大学での日本語教育は「読解・会話・聴解」といった基礎的な力を強化することを重視していますが、企業が求めるのは「ビジネス日本語」や「顧客対応力」など、即戦力となる実践的なスキルです。
日本人学生が新卒での就職率が9割以上であるのに対し、外国人留学生の新卒就職率は5割未満と、このギャップが外国籍人材の就職活動の障害となっています。
解決策の提案
調査において、大学の教職員の約9割が「就職に特化した外部の日本語教育機関を留学生に勧めたい」とし、企業側も「登録日本語教員の資格を持つ専門家に教育を依頼したい」との希望が約9割という結果が出ました。これは、大学と企業の双方が外部の教育リソースを強く求めていることを示しています。
まとめ
今回の調査は、外国籍人材の日本語能力及び就職活動におけるさまざまな課題を明らかにしました。今後、企業と教育機関との連携を強化し、語学教育とキャリア支援を統合したプログラムづくりが求められます。行知学園では、就職特化型の日本語学校「Tokyo Japanese Academy(TJA)」を運営し、留学生や外国籍人材の日本語スキル向上と就職支援に取り組んでいます。また、日本語教師を目指す方々のための養成講座も行い、的確な指導者の育成にも力を入れています。
お問い合わせ
企業名:行知学園株式会社
担当:事業推進室 翁(うぇん)
TEL:03-5937-6597
MAIL:
[email protected]
調査概要
1.
外国人留学生の日本語能力と就職に関する調査
【調査期間】2025年7月11日(金)~2025年7月15日(火)
【調査方法】PRIZMAによるインターネット調査
【調査人数】865人
【調査対象】大学教授・准教授、大学職員、専門学校教員・職員
【調査元】行知学園株式会社
2.
サービス業界の外国人従業員に関する調査
【調査期間】2025年1月10日(金)~2025年1月14日(火)
【調査方法】PRIZMAによるインターネット調査
【調査人数】1,015人
【調査対象】外国人従業員がいるサービス業の人事担当・経営層
【調査元】行知学園株式会社