世界初!軽量リチウム-硫黄二次電池の試作に成功
最近、株式会社ADEKAは、うるたま株式会社と共同で世界初となる軽量リチウム-硫黄二次電池「軽量Li-SPAN/樹脂箔パウチセル」の試作に成功したと発表しました。この電池は、同社で開発中の次世代材料「SPAN」と樹脂箔を正極として使用しており、その実験結果は次の通りです。
試作セルの特徴
「軽量Li-SPAN/樹脂箔パウチセル」は、重量エネルギー密度が最大で552Wh/kgに達するなど、現行のリチウムイオン二次電池の値を大きく上回る実績を見せました。また、安全性を確認するために行われた釘刺し試験においても、満充電状態のセルに釘を刺しても発煙や発火が発生しないことが確認されています。試験は、ソフトバンクやKISCO、国立研究開発法人産業技術総合研究所の協力を得て実施されました。
リチウム-硫黄の可能性
リチウム-硫黄二次電池は、レアメタルを使用せず、一般に利用可能な硫黄を使用するため、環境に優しく、軽量化が可能です。これにより、次世代電池としての注目を集めています。モバイル機器や自動車、航空宇宙関連の応用が期待されており、ドローンやeVTOL、成層圏通信プラットフォーム(HAPS)などへの適用が見込まれています。
試作セルの開発背景
今回の試作は、ADEKAの次世代二次電池向けメタルフリー硫黄系ポリマー材料「SPAN」を活用しています。この新しい電池設計は、SPANと樹脂箔を組み合わせたもので、世界初の試みです。セルの設計は、うるたま株式会社との共同作業で行われ、実用プロセスに特化した形で進められました。さらに、樹脂箔に関してはKISCOとソフトバンクが共同開発したものです。
今後の方向性
ADEKAは今後、次世代二次電池の実用化に向けてさらなる技術開発を進め、SPANの量産化を福島県相馬市の工場で進めていく方針です。2026年度には年間数トン規模での生産に挑戦することを目指しています。また、電池材料分野の事業化にも注力し、持続可能な社会に貢献することを目指しています。
まとめ
この技術革新は、リチウム-硫黄二次電池のさらなる発展を視野に入れたものであり、持続可能で安全な電池の実現に向けた大きなステップです。2024年11月20日から22日にかけて行われる「第65回電池討論会」での発表が待たれます。